・1.2.11 防護措置
科学的に不確実な分野における健康防護政策の策定および政策の実施に関する研究、特に、ELF磁界およびその他の「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」と分類された因子に対するプレコーションの使用、プレコーションの解釈、プレコーション的措置の影響の評価、を勧告する。
ある因子が社会に課す潜在的健康リスクについて不確実性が存在する場合、公衆および労働者の適切な防護を確実にするため、プレコーション的措置は是認されるかもしれない。
ELF磁界に関するこの問題については限られた研究しか実施されていない。
その重要性から、更なる研究が必要である。
これは、各国がプレコーションを健康防護政策に統合することを支援するであろう。
特に電磁界に焦点を当てた、リスク認知およびコミュニケーションに関する更なる研究が望ましい。
リスク認知全般に影響を及ぼす心理学的および社会学的要因が広く調査されている。
但し、電磁界に関してこれらの要因の相対的重要性を分析する、または電磁界に特有のその他の要因を同定するために実施されている研究は限られている。
最近の研究では、リスクに関する暗黙のメッセージを伝えるプレコーション的措置は、懸念を増す、または減らすことによって、リスク認知を改変しうることが示唆されている。
ゆえに、この領域におけるより深い調査が是認される。
ELF磁界の軽減に関する費用対便益/費用対効果分析の開発に関する研究を実施すべきである。
ある政策オプションが社会にとって有益かどうかを評価するために費用対便益および費用対効果分析を使用することは、公共政策の多くの分野において研究されている。
ELF磁界についてこの分析を実施するため、どのパラメータが必要かを同定する枠組みの開発が必要である。
この評価における不確実性のため、定量化可能および定量化不能なパラメータを組み込む必要がある。
表1(省略)