へその緒が語る体内汚染2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・(2)実践:次世代環境健康学プロジェクト
 ヒト胎児の複合曝露対策の実践として、森先生は、予防医学に基づき、2003年、次世代環境健康学プロジェクトという大学発NPOを立案された。
①認知
 化学物質の人体への影響を防ぐには、まず、化学物質が人体にどのように影響するかといった情報を、一般市民が知ることから始まる。

そこで、次世代環境健康学プロジェクトでは、化学物質に関する情報を正確にわかりやすく伝達するトランスレーターを養成し、資格を付与している。

資格を得たトランスレーターは、一般市民に集団教育を行っている。
②関心
 次に、化学物質の健康診断を行い、自分がどのくらい汚染されているのかを知る必要があり、次世代環境健康学プロジェクトでも、化学物質の健康診断を実施している。

また、体内濃度測定法の確立や疫学調査、化学物質の複合曝露の影響のメカニズム解明等の研究も行っている。
③行動・対応
 健康診断の結果、汚染濃度が高い人には、生活習慣の改善で体内濃度を下げるためのアドバイスや、投薬による濃度低減治療を行う。未来世代を化学物質から守るためには、特に、生殖世代にある若い世代に対して、適切な対策をとることが重要である。

例えば、母乳には母体血よりも高濃度のPCBが移行するので、母親のPCB濃度が高い場合、子どもを母乳で育てる場合と人工乳で育てる場合とのリスク情報を提供している。
(3)ケミレスタウンプロジェクト
 2007年、次世代環境健康学プロジェクトに、ケミレスタウンプロジェクトが追加された。
 ケミレスタウンプロジェクトは、シックハウス症候群の根本的対策の実践である。シックハウス症候群に関しては、膨大な化学物質の中から一つずつ疾患との因果関係を検証し、原因を明らかにするという対応をとることは不可能で、環境を変えることが根本的対策となる。

ケミレスタウンプロジェクトは、大学キャンパス内に化学物質を低減したモデルタウンを建設し、最も感受性の高い胎児を基準とした環境改善型予防医学研究を行い、環境ユニバーサルデザインによる街づくりを確立することを目指す実証実験なのだ。
 ケミレスタウンプロジェクトにおいても、①認知、②関心、③行動・対応の3方向からシックハウス症候群対策を講じている。

すなわち、①ケミレスタウンを創設することで、情報を発信し、②モデルタウン内の診療科でケミレス必要度テストを行い、③シックハウス症候群の疑いのある子どもと家族はモデルハウスに居住し、症状改善を検証する。

また、環境改善型予防医学や、環境ユニバーサルデザインという価値観の普及に努めている。

4.未来世代のために
 化学物質なしの生活は不可能である。

しかし、これを削減し、現代及び未来世代の健康を守ることは可能である。

次世代環境健康学プロジェクトは、胎児を基準にした環境予防医学を日本全体へ、そして世界へ普及する拠点として活動を続けている。

              【報告:和久井智子