・ 適応 [編集]
ジアゼパムは以下のように、非常に広範な適応を持つ。
不眠症の短期的治療 — 睡眠薬(眠剤)としては、作用時間が比較的長いので、主に熟眠薬(睡眠の質を高め、熟睡できるようにする)として用いられる。
不安、パニック障害、興奮状態の治療
手術前・手術後の鎮静
てんかん重積状態の治療、ならびにそれ以外のてんかんの補助療法
破傷風(他の積極的な治療と併用する)
疼痛を伴う筋疾患の補助療法
脳卒中、多発性硬化症、脊髄損傷などを原因とする痙性麻痺(片麻痺、四肢麻痺)の補助療法(長期療法としてリハビリテーションと併用される)
躁病の初期管理(リチウム、バルプロ酸などの第一選択薬と併用される)
幻覚薬、および中枢神経興奮薬の過量摂取に対する補助療法
アルコール、ならびに麻薬の離脱症状の緩和(医師による注意深い監視を要する)
自殺企図を有するうつ病の、うつ症状が明確に緩和されるまでの初期治療(抗うつ薬が併用される)
神経遮断薬(抗精神病薬)の、早期の錐体外路性副作用に対する補助療法
両親や、正常な社会的環境と引き離され、不安を持つ小児(長期入院など)に対する研究的な治療
「日本の」特殊事情として、こうした薬理学的適応のほかに、医療保険上の適応になるか否かが問題になる。
そのため、睡眠薬としてジアゼパムが用いられることは少なく、抗不安薬・鎮静薬としての用途で用いられることが多い。
獣医学的な用途にも用いられ、犬猫の短期間作用型鎮静・抗不安薬として大変有用である。
犬猫の術前鎮静薬や、鎮静が許容できる場合での抗けいれん薬(短期・長期治療いずれも)としても使用される。
例として、猫のけいれん発作重積状態を止めるためには、5mgの注腸、ないし緩徐な静注(必要により再投与)が用いられることがある。