身のまわりの電磁界について10 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Q.6:電磁界は医療機器に影響を及ぼすのですか?(省略)

・Q.7:国際的なガイドラインとはどのようなものですか?
A.7:最も広く利用されているのは、WHOが正式に認知している非政府機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインです。
このガイドラインは、刺激作用や熱作用により健康影響を生じることがわかっているばく露レベルに対して適切な安全率(職業的ばく露に対しては10倍、公衆のばく露に対しては更に5倍)を考慮して、ばく露限度を制定しています。
【解説】
非常に強い電磁界に人体がばく露されると、健康影響が生じる恐れがあります。

この健康影響から人体を防護するため、どのようにばく露を制限したら良いかを示すのが、ガイドライン(防護指針)です。

電磁界の物理的性質は科学的に十分に理解されており、人体への作用についても、長年の研究から多くのデータが蓄積されています。

ガイドラインは、このような確立された科学的知識を基に作られています。
最も広く利用されているのは、WHOが正式に認知している非政府機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインです。

このICNIRPガイドラインについては、欧州連合(EU)理事会がEU加盟各国に採用を勧告している22のをはじめ、南米やアジア・オセアニアなど、世界中の約50カ国で採用が進んでいます。
○ ガイドラインの根拠
ICNIRPのガイドラインは、査読(同じ分野の研究者による審査)を経て学術誌に掲載された膨大な数の科学論文を根拠としています。

査読された論文は信頼性が高いと見なされますが、全てがガイドラインの根拠になるわけではなく、再現性の確認や、「影響がない」という結果が掲載されない「出版バイアス」の影響の排除など、査読された科学論文であっても、その内容を精査する必要があります。
100kHzまでの電磁界(超低周波及び中間周波)へのばく露による刺激作用や、100kHzを超える電磁界(中間周波及び高周波)へのばく露による熱作用については、十分に理解され、確立されています。これらの作用には、反応の強さに関係するばく露強度の指標があり、その指標と影響の大きさの関係が明らかにされています。

具体的には、刺激作用については生体組織内の誘導電流密度、熱作用については単位質量の組織当たりの吸収電力(比吸収率、SAR)がばく露指標です。これらの作用には「しきい値」(反応を生じる刺激の最小値)があり、このしきい値に基づいて適切な安全率(職業的ばく露に対して10倍、公衆のばく露に対しては更に5倍)を考慮することによって、ガイドラインの限度値が導かれます。この限度値は、「基本制限」と呼ばれます。
○ 基本制限
4Hz~1kHzの電磁界については、刺激作用のしきい値を100mA/m2と推定し、これに安全率を考慮して、職業的ばく露に対する基本制限を10mA/m2、公衆のばく露に対しては2mA/m2としています。

4Hz以下及び1kHz以上の電磁界については、神経刺激のしきい値が上昇することを考慮して、誘導電流密度に対する基本制限は周波数に応じて高くなっています。
100kHzを超える電磁界については、熱作用のしきい値を全身平均SARで4W/kg、局所SARで100W/kgと推定し、これに安全率を考慮して、職業的ばく露に対する基本制限を全身平均SARで0.4W/kg、局所SARで10W/kg(頭部と体幹)、公衆のばく露に対しては全身平均SARで0.08W/kg、局所SARで2W/kg(頭部と体幹)としています。


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