・広がる用途―人体被害にも気をつけて
9月13日に行った国民会議の公開学習会では、ネオニコチノイドの毒性と人体への危険性について専門家から語られた。
しかしながら農薬企業は、この農薬は昆虫に選択的に作用するから脊椎動物やヒトには影響がなく大丈夫である、という宣伝をまことしやかにかに広めている。
しかし、すでに人体被害(群馬県)も報告されている。
前回のニュースレター(58号7頁、黒田記事)で詳細が説明されたように、ネオニコチノイドの毒性は、低用量でも慢性影響があり、自律神経、中枢神経、免疫系を含む全身に及ぶ恐れがある。
毒性の強いニコチン類似の影響は、胎児や小児、特に発達途上の子供の脳をも脅かすおそれがある。
ここでその危険性について再度注意が喚起されなければならない点は、ネオニコチノイドの急性毒性も非常に強いことである。
安全な日常生活のためには最低限その知識が必要となる。
厚生省管轄の毒劇法では、化学物質の急性毒性を半数致死量(LD50)によって分類しているが、劇物や毒物はその危険性が重大であるため、住所、氏名届、捺印、鍵のかかるところへの保管が義務付けられている。
しかし、末端の農協、一般農家、果樹栽培農家、そして私たちの家庭で、その危険性が認識されてはいない。
イミダクロプリドやアセタミプリド、チアクロプリド、フィプロニルも劇物に指定されているが、害虫駆除のための農薬、野菜や果物の定植時に幅広く使用され、松枯れ対策のための空中散布でもその一部が使用され被害者がでた。
クロチアニジンやジノテフランは劇物指定ではないものの、ミツバチが大量死した事実は重く、それは、ネオニコチノイドは劇物指定がない薬剤でさえ恐ろしい影響を及ぼすことを物語っている。
その危険性が周知されないまま、これらの農薬が私たちの日常生活に深く浸透してきている。
農業一般での使用はもちろんのこと、シロアリ駆除剤として新築した家の床下に、ペットのノミ取りに、果物の植え付けに、最近人気の子供と共に楽しむガーデニングや家庭菜園の殺虫剤に、低毒性であるという誤った情報を信じている人もいるが、この農薬の危険性を知らない人たちが使用し、毒が浸透した食べ物が益々私たちの食卓に回ってくる。