・3.2.2 諸外国の動向(省略)
・どのような研究が欠けているか?
迷走接触電流や帯電した大気汚染粒子が本当に疫学研究の結果を説明するに十分であるか否かを決定することは、高度に政策と関連するであろう。
ある示唆的な試験管実験、動物実験は追試を待っている。
流産や急性心臓病死など一般的な病気の疫学は前向き研究が可能であり、それによって政策に資するに適当なものとなり、複合したEMFの何が生物学的反応を起こすのかをよりよく理解できるようになるであろう。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP) 1998年4月に, 曝露ガイドラインを改訂し、日常的な電磁界曝露とがんの関連について信頼できる証拠はないとしている。
EU連合 1996年,パネルメンバーは、電磁界曝露によるがんのリスク上昇については明らかな証拠がないと述べている。
オーストラリア 1997年, 国会の放射線諮問委員会は、商用周波数磁界の健康影響について確実な結論に至るには不十分な証拠しかないと議会に対してアドバイスした。
カナダ 1998年12月、ヘルスカナダの公衆衛生担当者からなるワーキンググループは、電磁界ががんのリスクの原因となっているかどうかを決める証拠は不十分であるとしている。
なお、新たな知見が得られたところで見直すとして、電磁界の研究のモニタリングは必要とした。
ドイツ 1997年1月、ドイツは一般大衆についての電磁界曝露に関する国レベルの規則を決定した最初の国になった。法26で規定したこの規則は、架空および地下の高圧送電線、配電線、変圧器、電車の変換機や架空配電線などの電力設備にのみ適用された。しかし、規制基準とされた電界で5 kV/m、磁界で1 Gauss は通常の生活環境中にはありえないレベルである。
なお、同法では、住宅、病院、学校、デイケアーセンターあるいは子供の遊び場などの近傍の電力設備については、それらが新設される場合あるいは変更される場合には、ケースによって予防的な方策が採られるべきであるとしている。
英国 国立放射線防護局(NRPB)は、2001年の非電離放射線への曝露を防護する基準に関する政府への答申において、小児白血病のリスクと高レベルの商用周波数曝露との関連を示唆するいくつかの疫学調査結果があるとしている。
また、一部の諮問委員会メンバーは、15歳未満の小児での白血病リスクは4mG以上で2倍となっていることを支持している。
しかし、同時に、超低周波数の電磁界ががんを発生させることを示唆する実験結果は見られないことも指摘している。
スカンジナビア 1995年10月、科学的判断規準検討グループは, IARCの分類システムを用いて、職業性の電磁界はpossibly carcinogenic to humansであるとした。
しかし、1994年のスウェーデン政府の判断のまま、大衆の曝露制限は必要はないが、大衆は電磁界に注意が必要としている。
1996年、5つのスウェーデンの政府機関が、予防的アドバイスについてさらに、電磁界は低減されるべきであるが、大きな不具合や費用がかからない範囲の現実的対応を採用すべきである、と説明している。
ノルウェイ、デンマークあるいはフィンランドの健康科学者は、住宅の磁界と小児白血病との関連については確認もできず、否定もできないと結論している。ただし、1994年, いくつかのノルウェイではいくつかの省が、低費用で不具合がない範囲で、住宅と電力設備の距離を増加させるよう推奨している。