4)-3 その他の健康影響についての研究
○ Noonan CWら(8)は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、およびパーキンソン病と、職業性の磁界曝露との関連性を調べた。
その結果、筋萎縮側索硬化症およびパーキンソン病と磁界曝露については有意な関連性を認めた。
アルツハイマー病については、職業性磁界曝露との関連性は認めなかった。しかし、この研究での曝露評価は職種によって分類されていて曝露レベルの実測を行っていないため、誤分類の存在が考えられる。
また居住地区や住居等の職場以外における磁界の曝露も考慮される必要がある。
○ Li CYら(9)は、認識障害(アルツハイマー病や痴呆症を想定)を認めた290名を症例とし、年齢と性を一致させて選択した580名を対照とし、症例対照研究を行った。
その結果、電磁場曝露と認識障害のリスクとの間に有意な関連性は認められなかった。
○ Blaasaas KGら(14)は、1967~1995年の期間でのノルウェーにおける出生数160万人の中で、母親の職業性磁界曝露に関する情報が得られた836,475名、父親の職業性磁界曝露に関する情報が得られた1,290,298名を対象者とし、職業性曝露と先天異常との関連性を調べた。
先天異常全体では、母親および父親の磁界曝露との関連性は認められなかった。
カテゴリー毎の比較では、母親の磁界曝露は二分脊椎(p=0.04)および内反足(p=0.04)のリスクとの関連性が認められた。
父親の磁界曝露は、無脳症(p=0.01)および「その他の先天性異常」というカテゴリー(p=0.02)のリスクの増加が認められた。
この研究では、有意な関連性を認めたカテゴリーではサンプル数が小さいことや、他に先天異常を引き起こす可能性のある原因について十分に考察されていない。