・○ Oppenheimer Mら(5)は、急性骨髄性白血病(AML)と診断された726名を症例とし、年齢(5歳以内)、人種および性を一致させた同数を対照として、症例対照研究を行った。
曝露の評価は、対象者本人および近接者にインタビューを行い、電気製品の使用頻度と、従事した職種について聴取した。
その結果、電気毛布やベッドヒーティング等の電気製品の使用頻度の差とAMLの発症との間には有意な関連性は認められなかった。
また職種とAMLの発症との間にも有意な関連性は認められなかった。
この研究では電気製品の使用頻度や職種に注目されているが、それぞれにおける曝露の実態は測定されていないため、曝露の評価を明確にすることが望まれる。
また重症である場合等において対象者本人にインタビューできない際には近接者のみから曝露に関する情報を得ていることも、バイアスを生じる原因になると考えられる。
○ Bethwaite Pら(11)は、急性白血病と診断された110名を症例、一般住民から選択した199名を対照として、症例対照研究を行った。
対象者は、1つ以上の「電気に関する職業」に従事した電気群と、1つも従事していない非電気群に分類し、電気群ではジョブエクスポージャーマトリクスを用いて職種毎の曝露評価を行った。
電気群の、非電気群に対する急性白血病のオッズ比は1.88(95%信頼区間1.0~3.8)であった。
職種別の分析では、溶接工におけるオッズ比が2.79(95%信頼区間1.2~6.8)、電話線の作業者におけるオッズ比が5.81(95%信頼区間1.2~27.8)であり、有意な増加を認めた。
また磁界曝露の増加とともに、急性白血病のリスクも増加する量反応関係を認めた。
しかしこの研究では、症例と対照とのマッチングが行われていない等、結果に影響を与える?絡因子の調整が十分にされていない。
症例の110名の中の21名は対象者本人からの情報の聴取ができなかったことも、バイアスを生じる原因となりうると考えられる。