化学物質排出移動量届出制度4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・■「アジェンダ21」と「リオ宣言」
PRTRの重要性が国際的に広く認められるきっかけになったのは、1992(平成4)年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)です。
ここで採択された、持続可能な開発のための行動計画である「アジェンダ21」では、「化学物質のリスクについて広く認識することが化学物質の安全性の確保に欠かせない」という立場に立って、PRTRを「情報の伝達・交換を通じた化学物質の管理」あるいは「化学物質のライフサイクル全体を考慮に入れたリスク削減の手法」と位置づけ、政府は国際機関や産業界と協力してこのようなシステムを充実すべきである、としています。
また、同じく地球サミットで採択された、環境と開発のための国際的な原則である「リオ宣言」では、
(1)個人が有害物質の情報を含め、国などが持つ環境に関連した情報を入手して、意志決定のプロセスに参加できなければならない
(2)国も情報を広く利用できるようにするべきである
としており、この原則も、PRTRの背景にある重要な考え方になっています。

■OECD理事会勧告
世界の化学製品の大部分を生産する先進工業国が加盟している経済協力開発機構(OECD)では、地球サミット以後、PRTRの加盟国への普及に向けて積極的に取り組んできました。

そして1996(平成8)年2月に、加盟国がPRTRの導入に取り組むよう理事会勧告を出しました。併せて、各国政府がPRTRを導入することを支援するため、「PRTRガイダンスマニュアル」を公表しました。
こうした中で現在、OECD加盟国を始め、多くの国々がPRTRを実施したり、導入に向けて取り組んだりしています。既に、米国、カナダ、英国、オランダ、オーストラリアなどで、それぞれの国の実情に応じたPRTRが法制化されています(下表参照)。

■日本の取り組み
日本では、環境庁がOECD理事会勧告を受けて我が国におけるPRTR導入に向けた取り組みを早急に進めることとし、1996(平成8)年10月に「PRTR技術検討会」(座長:近藤次郎東京大学名誉教授)を設置して、PRTRに係る技術的事項を検討、翌年5月に「PRTR技術検討会報告書」として取りまとめ、これをもとにPRTR導入に向けてのパイロット事業を開始しました(2000(平成12)年度まで)。

また産業界でも、(社)経済団体連合会や(社)日本化学工業協会により、化学物質の排出・移動量を把握する自主的な取り組みが進められました。
1998(平成10)年7月に環境庁長官から中央環境審議会に対して「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について」諮問があり、我が国へのPRTR制度の導入について集中的な審議を行った結果、同年11月に、我が国におけるPRTR制度の導入に当たっての基本的考え方についての中間答申が取りまとめられました。

これを受けた環境庁は、通商産業省と共同で「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案」を取りまとめました。同法律案は、1999(平成11)年3月に国会に提出され、衆議院で一部修正された後、7月7日に参議院で可決、7月13日に公布されました。
この法律に基づき、対象事業者は2001(平成13)年度から対象化学物質の環境中への排出量等の把握を開始し、2002(平成14)年度からその届出が実施されており、2002(平成14)年度末から毎年集計結果が公表されています。