・4)治療と医療費
病院で診断され治療を受けた34 人に、具体的な治療や医師のアドバイスについて質問した。
最も多かったのは「食事療法」と「電磁波を避けるようアドイスされた」で、それぞれ21 人(61.7%)だった。
次いで、「サプリメントの摂取」19 人(55.9%)、「歯の金属製の詰め物を取った、または取るようにアドバイスされた」11 人(32.3%)、「メガ・ビタミン投与、点滴」9 人(26.4%)と続く。
電磁波被曝によって、体内の酸化ストレスが高まるといわれているので、酸
化ストレスを除去する抗酸化療法が有効だと考えられている。
具体的には、抗酸化物質(カルシウム、マグネシウム、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、亜鉛など)を多く摂取するよう指導される。
同様に、酸化ストレスを減らすため、砂糖など甘味料や肉の摂取を制限する、野菜の摂取を増やすなど、食事療法も推奨されている。
歯の金属製詰め物については、異種金属によって口の中でガルバニック電流
が発生するほか、被曝によってアマルガムから水銀が流出しやすくなるという
報告もある。
そのため、金属製の詰め物を取り除き、セラミックや樹脂に置き換えるよう指導される。
また、代謝を高めたり、脂肪に蓄積している化学物質(酸化ストレスを増や
す一因)を排出できるよう、「運動療法」8 人(23.5%)や「入浴(温泉)療法」
5 人(14.7%)を薦められた人もいた。
自分の判断で代替医療を受けた人は54 人(72.0%)いた。
「入浴(温泉)療法」「サプリメントの摂取」各22 人(40.7%)、「運動療法」「食事療法」各19 人(35.2%)など、専門病院でも行っている治療を選択した人が多い。
また、漢方薬や鍼灸をはじめ、西欧諸国を中心に家庭や医療機関で広く利用されているホメオパシー療法、ヒーリングなどを実践している人もいた。
病院での診療や自分で判断して受けた代替医療にかかわる費用は、年に10 ~ 30 万円が31 人(41.3%)、10 万円未満が18 人(24.0%)だった。
現状では、電磁波過敏症について十分な知識のない医師が大半だ。
「他の病気になっても、医師に電磁波の知識がなく、必要な診察・治療を受けられない」と答えた人が36 人(48.0%)、「電磁波過敏症を知っている病院がなく、適切な治療が受けられない」は31 人(41.3%)いた。
例えば、48 歳女性は、ある病気で大学病院手術を受けることになり、自分が
電磁波過敏症と化学物質過敏症を発症していることを説明しようとしたが、「麻酔科の医師に、『医学会で認められていない話は聞かない、経過資料も見ない』と言われ、本当に辛かった」と答えている。
化学物質過敏症だと医薬品にも反応し、電磁波過敏症は病院周辺の携帯電話基地局や院内の無線LAN、蛍光灯、医療機器にも反応する。
経過資料すら見ず、患者の話を聞こうとしないのは医療事故につながりかねない危険な行為だ。
アンケートでは他にも、「専門病院が遠方にあるので、通院の交通費がかさむ」は25 人(33.3%)、「他の病気で入院することになっても、電磁波の少ない病院がなく、入院できない」は19 人(25.3%)、「自由診療なので、病院での検査費用がかさむ」が21 人(28.0%)いた。