世界に広がるミツバチ大量死2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・フランス―ミツバチ問題を契機に農業の大転換―
フランスが、ミツバチ大量死に直面したのは早くも1990年代半ばだった。

当時、ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシの単作農家ほどミツバチの被害は大きく、農薬原因説がまたたく間に国中に広がった。

全仏養蜂連盟も農薬の影響を重視し、養蜂家たちはネオニコチノイド系農薬こそが原因だとして農薬メーカーに対して訴訟を起こし、政府はそれに答えるかのように迅速に動き出した。
これまでにフランスが実施した初期対応策の中で注目されるものは、危険性が正式に認められていない段階で99年に、ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリド(商品名:ガウチョ)によるヒマワリの種子処理(注1)を一時的に中止し、調査、研究をスタートさせたことだ。

この予防原則的な措置の後の2003年、フランス農業省は、イミダクロプリドによる種子処理の危険性を警告する報告書を公表し、翌2004年にはガウチョの認可を取り消した。
このように農業国フランスのミツバチ問題への対応は、迅速でしかも予防原則に基づいている。

さらに2009年には、国をあげて養蜂業の振興策を探り始めた。その中で、持続可能な農業を築き上げるための行動計画の柱のひとつに「持続可能な養蜂のためのミツバチ計画」を掲げた。

また、ミツバチ減少の原因をつきとめ、消滅を防ぐために養蜂技術研究所と養蜂職能組織を立ち上げた。

さらに2018年までに、未来世代のために農業における農薬使用量を半減するという目標を掲げている。

その根底には、今世紀半ばには90億に達する世界人口に必要となる食糧を少しでも確保しようとする意図と、そのためには、ミツバチなどポリネーターの保護が欠かせないという国家的戦略があるようにみえる。日本農業新聞の連載記事“欧州ミツバチ報告”(09年6月)では、フランスで不妊症の女王蜂が増えていることを報告している。

養蜂家たちは、産卵数が極端に少なくなる“不妊症”の女王蜂の存在をすでに10年も前から気づいていたという。農薬による環境ホルモン作用の影響で、ミツバチにも生殖障害が起きているのではないか。

1999年時点でイミダクロプリドによる種子処理をやめたフランスにおいてさえ、大量死を免れたミツバチたちの生殖機能に取り返しのつかない影響が及んだ可能性がある。

・《フランス》
①農薬使用半減計画
2018年までに農薬使用量を半減
②持続可能な農業エネルギー計画
化石燃料消費を削減し、バイオマス、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーの活用
③有機農業の促進
有機農地面積比率を現在の2%から6%へと3倍にする
④農業経営の環境認証の促進
2010年までにフランス農業経営の50%を認証にする
⑤持続可能な養蜂計画
養蜂技術研究所と養蜂職能間組織の設立