甲状腺ホルモン不応症2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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5. この病気は遺伝するのですか
遺伝性の病気で常染色体優性遺伝という形で子孫に伝わることが多いようです。

具体的には両親のいずれかがこの病気であると約2分の1の確率で子供に伝わります。

しかし両親のいずれにもこの病気がなくて、突然変異によって子供に病気が出ることもあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
すでに述べたようにこの病気では甲状腺ホルモンの作用が弱まるはずです。

ところがその分、脳下垂体が甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの濃度を普通よりも高くします。

その結果、甲状腺ホルモン受容体に軽い異常があっても、甲状腺ホルモンが多いためにそれが働きの鈍さを補い、全身の新陳代謝はほぼ正常になることが多いのです。

ただ甲状腺が刺激されているため、正常の人に比べ甲状腺が大きくなる傾向があります。受容体の異常の程度が強いと、甲状腺機能低下症の症状が見られるようになりますが、心臓などでは逆に頻脈など甲状腺機能亢進症に似た症状を来すこともあります。

甲状腺ホルモン受容体には2種類あって、その割合が臓器によって異なっているためと考えられています。

異常がとても強い患者さんの中には、難聴や注意力低下といった精神障害を伴うこともありますが、それがおこる理由は不明です。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
ほとんどの患者さんは、特に治療を受けなくても正常の人と変りない生活を送ることが出来ます。

むしろバセドウ病と間違えられて誤った治療を受けないことが大切です。

この病気がまだ一般の医師の間であまり知られていないため、甲状腺が腫れていて血中の甲状腺ホルモン濃度が高いということでバセドウ病と誤診されることがよくあります。

かなり昔の欧米の統計になりますが、この病気の患者さんの3分の1以上の方が、初めバセドウ病とまちがえられて誤った治療をうけていたという報告があります。その意味で、この病気を正しく認識することが大切です。

前に述べたように、甲状腺機能低下症の症状が見られる場合は甲状腺ホルモンのお薬が必要になります。どのように治療するかは個人差が大きいため、甲状腺の専門家の中でも特にこの病気に詳しい先生に相談することが必要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
比較的最近になってはっきりしてきた病気のため、追跡調査のデータはまだ乏しいのが現状です。

平均寿命についてもまとまった報告はありません。ただ大部分の患者さんは、特に薬を使うことなく正常の人と同じ様に暮らしておられます。

このような患者さんでは、甲状腺ホルモン受容体の機能が低下していることと甲状腺ホルモンが多くあることとが、うまくバランスを取っていると考えられます。

このような患者さんでは特別の治療は必要でなく、1年に数回診察と検査を受けて頂き、経過を見ることになります。

異常の程度が強くて、例えば小児期から重い甲状腺機能低下症状を来すような患者さんも、ごく少数ですがおられます。

甲状腺ホルモンは小児の発育に大変重要ですので、治療が遅れると不可逆的な発育障害を起こしてしまう危険性があります。

もし甲状腺ホルモン不応症であることが分かった場合は、家族の人も検査を受けることが重要です。

妊娠したり出産のときはあらかじめ専門医に相談してください。