中枢性摂食異常症2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・5. この病気は遺伝するのですか
遺伝はしません。しかし、双生児や姉妹の両者に発病することがあり、性格が似ていることや同一の家庭環境が背景にあるためと考えられています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
拒食症では、無月経や、体重の減少に比例して低血圧、脈拍数の減少、低体温と冷え、背中のうぶ毛の増加、カロチン症(顔、手足のひらが黄色くなる)、便秘、むくみなどが起こります。

過食嘔吐していると唾液腺(えら)の腫大や手背の吐きダコが認められます。血液検査では、肝機能障害、白血球減少、貧血、高あるいは低コレステロール血症、電解質異常(低ナトリウム、低カリウム血症)があります。ホルモンの検査では、その臓器は悪くないのに、栄養失調の影響で、甲状腺ホルモン、女性ホルモン、背を伸ばすホルモンが低下します。

これらは体重が回復すればすべて改善します。

ただし、次の場合は、生命にかかわる危険があるので、入院して治療が必要です。

低血糖で意識がなくなる(低血糖性昏睡)、脱水で腎臓の働きが悪くなる(腎不全)、電解質異常(嘔吐や下剤の乱用による低カリウム血症による不整脈)です。また、栄養失調で結核の合併もあります。

後遺症になるのは、成長期に発病した場合の身長の伸びが低下による低身長と骨粗鬆症です。

過食症では正常体重にため大きな異常を認めないことが多いのですが、嘔吐や下剤乱用では電解質異常や腎機能障害を伴いやすくなります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
拒食症では体重だけ回復させること、過食症では過食や自己嘔吐をしないことが治療目標だと安易にみなされている傾向があります。

摂食障害はストレスに対する誤った行動です。ストレスに対して適切に柔軟に対応できるようになれば、食行動の異常は改善するのです。とはいえ、拒食症では、飢餓そのものが心身能力を低下させて、心理的治療の妨げになります。特に、標準体重の70%以下では運動がきつくなり、65%以下では日常生活に支障がでます。

胃腸機能も低下して自力で体重を増やすことができず、入院と栄養治療が必要になります。55%以下では重症の合併症を併発しやすくなり、生命危機にも陥ります。ただし、やせたいという患者に体重増加を受け入れさせことは容易ではありません。

周囲が、解決する問題は食行動の異常ではなく心理的な問題であることを認識し、食行動の異常を責めず、本人の心身の負担を減らして本音を話せる安心できる療養環境を作り、患者の治りたい気持ちを出させて、協力することが必要です。

医療機関では、栄養障害の程度を検査し、医学的アドバイスや栄養指導を行います。

そして、本人が受け取るストレスを減らす考え方や、ストレスと感じた場合はそれを食行動の異常ややせで反応しないで適切な方法で解決する行動パターンを学ぶ心理療法を行います。

過食は有効なストレス発散方法であり、最初から過食だけを止めることは困難です。

過食症では、ストレスと受け取りやすくためやすい考え方や物事の認識を変えるようにカウンセリングします。

また、自分の適正な体重を受け入れること、過食を誘導しやすい身体的飢餓を予防すること(不規則な食事、過激なダイエット、嘔吐、下剤乱用、過剰な運動をやめる)と過食しやすい生活パターンの修正(夜更かし、孤食、暇を減らす)を指導します。

薬物は補助的に使用します。

月経は体重が標準体重の85%以上に増加して少なくとも6ヶ月以上経過すると起こり始めます。

体重が回復すれば、異常妊娠や児の障害を増加させることはありません。

体重が回復しても月経が来ない場合、体重の増加が遅延する場合は婦人科的な治療もします。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
経過は患者さんによって異なりますが、体重と月経が回復するには年単位の期間がかかり、ゆっくりした経過の病気です。

当研究班の5年後の予後調査では、治癒33%、軽快48%、不変13%で、残念ながら死亡6%でした。死因は衰弱死、自殺、不整脈、感染症などでした。