・6. 滲出型加齢黄斑変性には色々なタイプがあるのですか
滲出型は脈絡膜から異常血管が網膜の方に向かって発育していくのですが、滲出型には特殊型があります。
特殊型の1つ目は脈絡膜の異常血管の先端がポリープのようになっているものです。
2つ目は新生血管が網膜の血管に栄養されているものです。
この型の新生血管は進行が早く、網膜内から脈絡膜まで拡大し、視力や中心視野の悪化が著名です。
日本人ではポリープ状のものが滲出型の約半分を占めています。
7. この病気ではどのような症状がおきますか
網膜の中心部が傷害されますので、まず視野の真ん中すなわち最も見ようとするところに症状がでます。
最初は物がゆがんだり小さく見えたり暗く見えたりします。また急に視力が低下する場合もあります。
黄斑部に病気が限局していれば通常見えない部分は中心部だけですが、大きな網膜剥離や出血がおこればさらに広い範囲が見えなくなります。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
この病気は原則として進行性ですが、その進行度や重症度には個人差があります。
一般的にはドルーゼン、網膜色素上皮の異常などの前駆病巣がありますが、前駆病巣があってもすべてが発病するわけではありません。
新生血管が発育し、出血や滲出が起こります。やがて新生血管が枯れ、出血や滲出が収まっても黄斑の組織の傷害は永久に残ります。
9. この病気にはどのような治療法がありますか
病気の進行度や重症度、また病型によって治療法はいくつかに分かれます。出血の予防のため止血剤を用いたり、黄斑部に新鮮な出血が多いときには出血を動かす処置をすることがあります。
また加齢黄斑変性になりやすい、後に述べる前駆病変を黄斑にみとめる人では発病予防のためにサプリメントを摂取するのが有効だという報告があります。
滲出型では新生血管が黄斑の真ん中(中心窩といいます)になければ、新生血管に対するレーザー光凝固をおこないます。
中心窩にある場合には、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬が第一選択になります。
血管内皮増殖因子は、新生血管の発生、発育を促進するたんぱく質です。抗VEGF薬治療は、硝子体の中に注射します。
抗VEGF薬はVEGFの代わりに新生血管のレセプターにくっつき、新生血管の発生発育を阻止します。抗VEGF薬にはルセンティスとマクジェンという2種類の薬があります。
ルセンティスは視力改善が期待でき、治療効果は高いので、第一選択になります。
しかし脳梗塞や脳出血の既往のある人では再発作がおこる可能性があるため、危険性と有用性を考えて使用する必要があります。
マクジェンのほうが安全ですが、治療効果はルセンティスほど高くありません。そのためマクジェンの使用は初期の小さな病変やルセンティスを使って視力が上がった場合、その視力を維持することを目的にするなどに限られます。
光線力学療法といって、薬と非熱レーザーを使って新生血管を詰まらせる方法もあります。光線力学療法は視力維持を狙う治療法ですが、日本人に多いポリープを示すタイプには光線力学療法は有用で、一時的には視力が改善します。
中心窩の新生血管に対する治療は、新生血管の大きさや活動性、全身状態によって個々に決める必要があります。