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5. この病気は遺伝するのですか
前述したように遺伝子異常は家族から受け継がれる場合(遺伝)と突然変異による場合があります。
ペルオキシソーム形成異常症は常染色体劣性遺伝なので、両親は病気の遺伝子を1つずつ持っていますが健康です。
そのようなカップルからペルオキシソーム形成異常症の患者が生まれる確率は25%です。
副腎白質ジストロフィーはX連鎖劣性遺伝形式なので、父親が患者の場合、娘はみな保因者となり、息子はみな健康です。
母親が保因者の場合、息子は50%の確率で発病し、娘の50%は保因者となります。
女性の保因者は通常発病しませんが、一部の女性で、軽度の歩行障害等を生じる場合があります。
家族に同じ病気の人や保因者がいなくても、突然変異で遺伝子異常が生じ、発病することがあります。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
ペルオキシソーム形成異常症では、特徴的な顔つき(額が広い、両眼が離れている、鼻が低い、顎が小さい)、筋力が弱い、乳を飲まない、発達の遅れ、痙攣、視力や聴力の低下などが共通してみられます。
副腎白質ジストロフィーは小児の場合、学業低下、運動能力の低下、視力・聴力低下などの症状で発病し、数年で寝たきりになります。
成人では、歩行障害、痴呆、精神障害などで発病します。副腎機能の低下で皮膚や唇、歯茎が黒くなることがあります。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
ペルオキシソーム形成異常症については、有効な治療法がありません。小児の副腎白質ジストロフィーについては、骨髄移植が有効と考えられています。骨髄移植が成功した12人の小児患者の長期観察で、神経障害と脳MRI所見の進行停止あるいは改善が示されました。
しかし神経症状が進行した例では効果はあまり期待できません。
より有効な治療を行うためには、出来るだけ早期に発見することが重要で、そのために患者さんのご家族からの解析により発症前の患者さんを発見して、早期から介入して治療の準備を行う取組みも行われています。
解析するにあたり、遺伝カウンセリングを受けることが必要です.血中の極長鎖脂肪酸を正常化するロバスタチンやロレンゾ油の効果については今のところ未確定です。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
ペルオキシソーム形成異常症の多くは乳幼児期に死亡します。
副腎白質ジストロフィーは小児の場合は数年で寝たきりとなる場合もあります。
成人で発症した場合、予後の良い人と進行する人がいます。