・wikipediaより
アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。
分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。
日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサン®の商品名で唯一販売されている。
脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。 この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。
第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。
従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。
抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。
また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。
適応症 [編集]
うつ病、うつ状態
禁忌 [編集]
急性狭隅角(閉塞隅角)緑内障
抗コリン作用による散瞳により発作を誘発するおそれがある。
心筋梗塞の回復初期
心伝導障害などの心毒性により容態が増悪するおそれがある。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与中、もしくは投与中止後2週間以内の患者
#併用禁忌の項を参照。
併用禁忌 [編集]
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬
相互に作用を増強し、脳内のモノアミン濃度が高まるおそれがある。
また、併用注意として、SSRIなどが挙げられる。
これらはアモキサピンの代謝を阻害し、相互に血中濃度が上昇して作用が増強される場合がある。
肝臓で代謝される薬物の殆どに言えることだが、アルコールとの併用は予期せぬ副作用を招くおそれがあるので、飲酒を控えるか主治医と相談の上での適度な量に抑えるべきである。
副作用 [編集]
倦怠感、脱力感、集中力低下、眠気、頭痛、めまい、立ちくらみ、便秘、肝機能障害
抗コリン性副作用
抗コリン性副作用は三環系抗うつ剤に多くみられる症状である。
末梢では、口渇、便秘、麻痺性イレウス、尿閉、急性狭隅角緑内障の誘発などが挙げられ、
中枢では、記憶障害、錯乱、せん妄、幻覚、異常高熱などが挙げられる。
錐体外路症状(EPS)
アモキサピンの活性代謝物はドパミンD2受容体を遮断するため、EPSが現れることがある。
早発性では、パーキンソニズム、ジストニア(ADt)、アカシジア、ジスキネジアなどが挙げられるが、臨床では特別な問題視はされていない。
非常に稀ではあるが、高用量で長期間の服用をした場合は遅発性パーキンソニズム(TP)、遅発性アカシジア(TA)、遅発性ジストニア(TDt)、遅発性ジスキネジア(TDk)(口の周辺の異常な不随意運動や舌の震え)などが起きる可能性がある。
悪性症候群(NMS)
非常に稀ではあるが、高熱を伴うEPS、意識障害などが起きる可能性がある。
種類 [編集]
カプセル: 10mg, 25mg, 50mg
細粒: 10%
用法・用量 [編集]
1日25から75mgを数回に分け経口投与する。症状、年齢により適宜増量し最大で1日300mgまで増量できる。