ADH分泌異常症 2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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6. この病気ではどのような症状がおきますか
中枢性尿崩症では多尿、口渇、多飲が主な症状で、その他に、皮膚や口の中の乾燥(ねばねば感)、微熱(汗が出にくいため)、食欲不振などがよく起こります。

典型的な場合には、1日の尿量は10~15リットルにもなります。多尿や口渇は糖尿病の症状としても出てくることがあるため、糖尿病を心配されて病院を受診される場合もありますが、尿の中の糖や浸透圧(尿の濃さ)を検査することで簡単に区別できます。

中枢性尿崩症では睡眠中も排尿が1-2時間毎にあり、そのたびに水を飲むため睡眠障害も起こします。この病気では脱水傾向になりやすく、夏季でも汗が出ないとか舌がからからになることがあります。小児では夜尿症として見つかることもあります。

続発性中枢性尿崩症では脳腫瘍などの原因となる疾患があるため、腫瘍の症状(頭痛、ものが見にくくなるなど)が同時に出てくることがあります。
  SIADHは通常定まった症状がないため、患者さんにとっても医師にとっても気がつきにくい病気です。

急激に起これば脳浮腫により、けいれんなどの症状が出ることもありますが、ほとんどの場合は血液の検査で、血中の電解質であるナトリウム値が低いことからこの疾患を疑うことになります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
中枢性尿崩症の治療は、不足しているADHを補う目的で、人工的に合成して作られたADHとよく似た構造を持つDDAVP(デスモプレシン)の投与により尿量を減少させることができます。

デスモプレシンは口から飲むと通常は消化酵素で壊されて効かなくなるため、鼻の粘膜に投与します。

そのためデスモプレシンは点鼻液あるいは点鼻スプレーという患者さんにとっては不便な形で使用することになります。

世界各国ではデスモプレシンの量などを工夫し、口から飲んでも効くような錠剤が広く使用されていますが、日本では残念ながらまだ認可されておらず患者さんのQOLの向上目的で今後早い時期に日本へ導入されるよう学会などで努力しています。
  SIADHの治療の原則は、体に過剰に貯まった水分を飲水制限(800ml/日程度)で減少させることが基本です。

けいれんなどの神経症状がある場合などでは濃いめの食塩水(高張食塩水)の投与により血中のナトリウム値を上昇させること(補正)がありますが、適正な補正の速度を決めることは容易ではなく、時に橋中心髄鞘崩壊というような脳の合併症を引き起こすこともあるため、慎重な処置が必要です。

わが国では2006年秋にフィズリンという名前のSIADHに対して特異的に効く治療薬が使用できるようになりましたが、内分泌専門医などその使用に習熟した医師により治療する必要があります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
中枢性尿崩症の症状は生涯続くことがほとんどですが、デスモプレシンの使用により尿量をうまく調節さえできれば寿命に影響することはなく、生活もほぼ普通通りにできます。

ただし、中枢性尿崩症の60%は脳腫瘍などの原因疾患をもつため、これら原因疾患の経過によって大きく左右されます。
  SIADHも多くの場合何らかの原因疾患を持っているので、その経過に影響されることがほとんどです。