・難病情報センターより
1. バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群とは
肝臓から流れ出る血液を運ぶ肝静脈か、あるいはその先の心臓へと連なっている肝部下大静脈の閉塞ないしは狭窄によって、肝臓から出る血液の流れが悪くなり、門脈の圧が上昇し、門脈圧亢進症等の症状を示す疾患をいいます。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
年間約300人前後の人がこの病気で病院に通院あるいは入院しております。また、人口100万人当たり2.4人の有病率であろうと推定されております。
3. この病気はどのような人に多いのですか
男性にやや多く、男女比は1.6:1です。
平均発症年齢は男性36歳、女性47歳と、男性の方が若い年齢で発症する傾向があります。
4. この病気の原因はわかっているのですか
肝静脈あるいは肝部下大静脈の先天的な血管形成異常や、後天的な血栓等が原因として考えられておりますが、原因不明のものも約70%を占めており、何故この部分の血管が詰まりやすいのか、はっきりしたことはわかっておりません。
また、基礎疾患として、血液疾患、経口避妊薬の服用、妊娠・出産、腹腔内感染、血管炎、血液凝固異常等を合併している症例も多いといわれております。
最近、血液凝固異常に関する遺伝子異常の有無が注目されており、現在この点に関して重点的に研究が行われております。
5. この病気は遺伝するのですか
原則として遺伝しないものとされておりますが、遺伝子異常の有無が注目されているため、何らかの先天的な素因の関与が疑われており、この点に関しては現在研究の途上であります。