・難病情報センターより
1. 神経線維腫症Ⅱ型とは
両側性に発生する聴神経鞘腫(前庭神経鞘腫)を主徴とし、その他の神経系腫瘍や皮膚病変・眼病変を呈する常染色体優性の遺伝性疾患です。
MRIあるいはCTで両側聴神経腫瘍が見つかれば診断は確定します。
また、親・子供・兄弟姉妹のいずれかに神経線維腫症Ⅱ型の方がおられ、本人に (1) 片側性の聴神経腫瘍、または (2) 神経鞘腫・髄膜腫・神経膠腫・若年性白内障のうちいずれか2種類が存在する場合にも診断が確定します。
また、家族歴がなくても、(1) 片側性聴神経腫瘍、(2) 多発性髄膜腫、(3) 神経鞘腫・神経膠腫・若年性白内障のうちいずれか一つ、のうち2つが見られる場合には神経線維腫症Ⅱ型の可能性があります
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
外国の報告によれば、発生率は37,500人に1人と言われています。日本でも同様の発生率と考えられます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
人種差や男女差はありません。
また、家族歴以外に発症に関与する因子は報告されていません。
発症年齢は10歳以下から40歳以上とまちまちですが、多くの方は10~20歳代で発症します。
4. この病気の原因はわかっているのですか
神経線維腫症Ⅱ型の責任遺伝子は第22染色体長腕に存在し、この遺伝子が作り出す蛋白質はMerlinと名付けられています。
Merlinは細胞内の情報伝達などに重要であり、正常では腫瘍の発生を抑制する働きがあります。
神経線維腫症Ⅱ型の方では、Merlinの遺伝子に異常が生じ、正常なMerlinができないために病気になると考えられています。