パーキンソン病 4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・診断 [編集]
確定診断は病理所見を待たなければならないが、上記の症状を呈する緩徐な進行性の疾患であること(他の神経変性疾患では病勢が亜急性に進むものもある)、CTやMRIの画像所見で特異的な異常が認められないこと(特徴的な所見を示す神経変性疾患や脳血管障害性パーキンソニズムを除外する)、L-ドーパ投与で症状が改善することがあれば、臨床的にはパーキンソン病と診断できるとされている[27]。

簡便な病期診断として、5段階の病期分類がある(Hoehn-Yahr分類)

1度 一側性パーキンソニズム
2度 両側性パーキンソニズム
3度 軽度~中等度のパーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要
4度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
5度 介助なしにはベッド又は車椅子生活
運動症状・非運動症状を含めた各症状を総合的に評価する方法としては、パーキンソン病統一スケール (Unified Parkinson's disease rating scale, UPDRS)がある。


鑑別診断 [編集]
パーキンソニズムを呈するすべての疾患。

その中にはパーキンソニズムを合併する他の神経変性疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、シャイ・ドレーガー症候群、大脳皮質基底核変性症など)、症候性パーキンソニズム(脳血管障害性パーキンソニズム、薬剤性パーキンソニズム、中毒性パーキンソニズム、感染後パーキンソニズムなど)などが挙げられる[27]。特に薬剤性パーキンソニズムは原因薬物の投与中止によって完治することのできる疾患なので、鑑別が重要である。

パーキンソン症候群を参照。

治療 [編集]
現在のところ、一般的なパーキンソン病に対する治療は、運動症状や精神症状、自律神経症状にたいする対症療法がほとんどである。

しかしながら、神経変性の機序が明らかになるにつれ、変性すなわち症状の進行を遅らせるための治療法(神経保護薬による治療法)が試みられるようになってきた。

また変性した神経を再生させる遺伝子治療や幹細胞移植などの根本治療も現実的なものとして視野に入っている[28]。

ここではまず現在の日本で現実的な(保険適応がある)治療について概説し、さらに新しい治療についても現在の到達点と将来的な見通しを記す。

日本において本疾患は1978(昭和53)年10月1日に特定疾患治療研究事業対象疾患に指定され、公費受給が可能となっている(ただし前述のように、Hoehn-Yahr分類の3度以上が認定の目安となるため、病初期の治療は健康保険の範囲内で自己負担せざるをえない)。


薬物療法 [編集]
特に記さない限り、日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライン2002に基づいて解説する。

ドーパミン補充療法 [編集]
ドーパミンの前駆物質であるレボドパ (L-dopa) を投与する。ドーパミンを直接投与しないのは、ドーパミンが血液脳関門を通過できないためである。

ドーパミン脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパ(商品名メネシット、ネオドパストンなど)あるいはベンセラジド(商品名イーシー・ドパール、ネオドパゾール、マドパー)との合剤を用いることが多い。主に3主徴に対して、きわめて有効に働く。

振戦の改善はその他の抗パーキンソン病薬に比べるとマイルドである。1960年代に臨床応用されて以来、薬物治療のゴールデンスタンダードだが、長期にわたる服用によりオン・オフ現象(突然薬の効果がきれ体が動かなくなる)やウェアリング・オフ現象(内服直後や時間がたった時に効果が突然切れる)、ジスキネジアといった副作用(運動合併症)が現れる。

このため、現在では初期治療としてはドーパミン受容体作動薬から投与することで、少しでもレボドパの内服開始時期を遅らせる治療法が一般的となっている。

L-ドーパやドーパミンアゴニストを投与すると悪心・嘔吐の副作用が出ることが多いが、これに対する治療としての制吐剤には、パーキンソニズムを悪化させるものが多い。

通常最もよく使われる制吐剤メトクロプラミドはこの用途には用いず、ドンペリドンを用いるのが一般的である(パーキンソン症候群の薬剤性パーキンソニズムの項を参照)。


ドーパミン受容体作動薬 [編集]
ドーパミンアゴニストとも呼ばれる。麦角系としてカベルゴリン(商品名カバサール)、ペルゴリド(商品名ペルマックス)、ブロモクリプチン(商品名パーロデルなど)、非麦角系としてプラミペキソール(商品名ビ・シフロール)、ロピニロール(商品名レキップ)、タリペキソール(商品名ドミン)などがある。

レボドパ製剤と比較してウェアリングオフやジスキネジアを起こしにくいことから、認知症を伴わない70歳未満の患者については、レボドパではなくこちらを第一選択とすることが推奨されている[29]。

幻覚(幻視が主である)などの精神症状が強く出やすいため、認知障害のある患者では投与を避ける。

また麦角系ドーパミンアゴニストでは重篤な副作用(心臓弁膜症や間質性肺炎など)を起こすことがわかり[30]、新たに投与を開始する場合はまず非麦角系薬を選択し、治療効果が不充分であったり忍容性に問題があるときのみ麦角系薬を使用する[31]ことになっている(その場合、投与開始前および開始後定期的に心臓超音波検査をはじめとするフォローが必要である)。

ただし、非麦角系薬にも突発性睡眠などの重大な副作用があるため、注意が必要であることには変わりがない。

また、これらの薬剤を内服している人が急に内服を中止すると悪性症候群などの重大な副作用を引き起こす危険がある[32]ので、必ず医師に相談する必要がある。

ドーパミン放出薬 [編集]
アマンタジン(商品名シンメトレルなど)は、もともとインフルエンザ治療薬として開発されたが、本剤を投与されたパーキンソン病患者の運動症状が改善されたことから、抗パーキンソン病薬としても認められるようになった。NMDA型グルタミン酸受容体に対する拮抗作用があり、これが抗パーキンソン作用の原因となっているという考えがある。

また神経保護作用もあるといわれるが、証拠はまだない。

アマンタジンはセレギリンと同様に覚醒させる方向に働くとされており、朝、昼に内服する場合が多い。

初期パーキンソン病の運動障害の改善の他、運動障害を悪化させずにジスキネジアを改善させる作用がある。

運動障害の改善のためには100~200mg/dayの投与で十分であるが抗ジスキネジア作用を期待するには300mg/day以上の投与が必要である。

腎排泄性の薬物であり高齢者の投与の場合は減量が必要である。血液透析で除去されにくいのも特徴である。

また高齢者、腎機能障害者に投与した場合、副作用である幻覚やミオクローヌスが出現しやすい。ミオクローヌスと振戦の区別が難しい場合もある。

その他の副作用としては網状皮膚斑などが知られている。