・7. この病気にはどのような治療法がありますか
現在のところ根本的な治療法や症状を改善する特効薬はありません。
薬物 : 抗パーキンソン病薬や抗うつ薬が使用されますが、効果は一時的あるいは無効です。
リハビリ : 歩行や移動をスムーズに行うために、また手足の拘縮 (関節が曲がってかたまる)予防にリハビリは必要です。
栄養 : 嚥下障害の程度に応じて食事形態を変更し、一口量を少なくします。飲み込まないで口に詰め込んでしまう場合は、食事中声かけが必要です。
水分でむせる場合には、まずスープ状のトロミをつけます(薬局で手に入ります)。
経口摂取ができなくなったら、経管栄養食などを併用、あるいは経管栄養に切り替えて鼻腔栄養や胃瘻(腹壁から直接胃の中にチューブを入れる)からの栄養補給を行います。
介護 : 転倒予防が重要です。
何かをしようとするときに転びやすく、そばにあるものに手が伸び物を取ろうとした拍子に転んでしまいます。
転ばないためには、手が伸びそうな物は片付け、普段使うものは体に近いところへ落ちないようまとめておきます。
トイレに行きたくなって動いて転んでしまうことも多いので、トイレに行きたくなる前に、早めに用を足しておくこともよいかもしれません。
何度声掛けしても、その場になると動いて転ぶ傾向があり、ケガも多いので、保護帽など受傷予防が必要です。
寝たきりになったら、体の向きを変える(体位変換)ことで床ずれを防ぎます。
また口の中を清潔に保ち、適宜痰を吸引する(吸痰)ことで肺炎を予防します。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
歩行障害や運動障害が徐々に進行しバランスを失って転倒を頻回に起こし、最後には寝たきりとなります。
発症に気づいてから寝たきりになるまでの期間は平均で4~5年程度ですが、患者さんごとに経過が異なります。
2005年にパーキンソン病とよく似た経過(左右差、振るえがあり、眼球運動障害や認知症は初期にはない)をたどり、抗パーキンソン病薬の効果も一定度あるタイプ(PSP-P)が報告され、このタイプはゆっくり経過し、罹病期間が長いとされています。
末期には食物や唾液の誤嚥による肺炎が死因となります。