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8. この病気はどういう経過をたどるのですか
劇症肝炎は、最初の症状に気づいてから肝性脳症が現れるまでの期間が10日以内の場合(急性型)と11日以降の場合(亜急性型)に分類されますが、経過は急性型の方が良好です。
1998 -2008年に劇症肝炎となった患者さんについて全国の主な病院から集めてまとめた結果によると、肝移植を行わなかった患者さんでは、急性型の53%、亜急性型の24%が肝移植をせずに救命されました。A型肝炎ウイルスが原因の場合には急性型がほとんどで、特に経過は良好でした。一方、B型の保菌者(キャリア)や自己免疫性の患者さんは、急性型、亜急性型の何れの場合でも、肝移植を行わないと死亡率が高いのが現状です。
しかし、年々、生体部分肝移植を受ける患者さんが増えており、これらも含めると、救命率は急性型が56%、亜急性型が40%に昇っております。1990年台前半までは、この救命率が急性型で30~40%、亜急性型で10~20%であったことから見ますと、劇症肝炎の治療法は明らかに進歩しており、救命される患者さんが増えていると考えられます。
肝移植を受けずに救命された場合には、通常は全く後遺症を残すことなく治癒します。しかし、肝臓が肝硬変にまで進行していまい、その後の管理が必要となる場合も一部にあります。肝移植により救命された後は、移植された肝臓が他人のものであるので、身体から拒絶反応によって排除されないように免疫抑制薬を一生涯服用する必要があります。