病理所見 [編集]
診断は、生検による病理学的検査によって得られる。生検による診断がなくても診断する事はあるが、可能ならば病理学的検査による確認があることが望ましい。中小動脈の動脈壁には好中球や単核球といった炎症細胞の浸潤がみられ、一部はフィブリノイド壊死をおこしている。内・外弾性板の断裂がみられ、これが動脈瘤の形成の原因と考えられている。顕微鏡的多発血管炎と鑑別する為、細小動脈の壊死性血管炎がないこと、静脈の炎症がないことを確認する必要がある。
診断 [編集]
特定疾患の認定基準が、診断にも用いられる。上記のような症状に発熱・体重減少をくわえたうちから2つ以上と病理学的検査結果があるものを「確実」、症状2つと血管造影または発熱・体重減少を含む症状6つ以上があるものを「疑い」とする。
本症は、当初の受診のきっかけが消化管出血、心筋梗塞、脳梗塞などである場合、診断までに時間がかかる事がある。いっぽう、発熱が当初の主症状であると、わりと鑑別診断には挙がってくることになる。
治療 [編集]
治療には、ステロイドを用いる。しかも、上記のように生命にかかわることが多く、また比較的難治性の自己免疫疾患であることを考えると、当初より高用量のステロイドを投与する事が通常である。効果がないと思ったら、シクロフォスファミドをはじめとする免疫抑制剤の投与もためらわず行う。また、重篤な臓器病変が生じたらそれに応じた治療も行う。たとえば心筋梗塞に対する冠動脈形成術や腎不全に対する透析治療などである。腎不全については、可能なら腎移植も考慮される。高血圧は積極的に治療した方が良いと思われ、ACE阻害薬が効果的である。
予後 [編集]
治療法が開発されるまではきわめて不良であったが、現在では適切な治療により長期生存が充分見込まれる。しかし重篤な臓器病変がおこれば、疾患そのものの勢いをおさえることに成功したとしても、生命の危機におちいる事はまれではない。
外部リンク [編集]
難病情報センター:結節性動脈周囲炎(1)結節性多発動脈炎
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