皮膚筋炎及び多発性筋炎 3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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7. この病気にはどのような治療法がありますか
一般的治療
発症した時(急性期)には安静にし、筋肉にできるだけ負担をかけないようにすることが大切です。障害された筋肉の温湿布は筋痛の緩和に有効といわれています。身体のこわばり、動作の不自由さ・筋力の回復のために、リハビリテーション、理学療法は重要です。しかし、何時から開始し、どの程度を行うかは難しい問題で、患者さんの病状により様々です。一般的に筋原性酵素(CK値)が薬物療法により低下し正常値に近くなり、筋力が順調に回復していることを確認してから、徐々に開始します。食事は高蛋白、高カロリー食で消化のよいものをとるように心がけます。

薬物療法
本症の治療では薬物療法が中心となります。主に副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)が使用され、効果的です。一般に大量ステロイド療法(体重1kgあたりプレドニゾロン換算で1mg/日)が4-6週間行われ、筋力の回復、検査所見の改善を見ながらゆっくりと(数カ月かけて)、最小必要量(維持量)にまで減量されます。急速な減量は再発をきたすことがあるので、慎むべきです。一般に、筋力の回復は発病後の治療開始が早いものほど良好とされています。しかし、ステロイドが無効であったり、薬の副作用が著しく出てしまう場合には、免疫抑制薬が一緒に投与されることがあります。また、最近これらの治療でも効果が得られない場合に、γグロブリンの静脈内注射療法の有効な患者さんが報告されていますが、さらに今後の検討が必要です。(免疫抑制薬やγグロブリン製剤は保険適応に認められていない薬剤ですので、主治医から薬の効果と副作用などをよく聴き、充分に理解した上で使用することが大切です。)

副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)
副腎皮質から分泌されるホルモンを、化学的に合成して作った薬剤で、その代表的なものがプレドニゾロンです(私たちの体内では、一日5mgのプレドニゾロンに相当する副腎皮質ホルモンが作られています)。炎症を抑える作用が強く、本症の原因と考えられている自己免疫異常も抑え、効果をもたらすと考えられています。ステロイド薬は筋の炎症を抑え、その免疫異常を是正し、多発性筋炎の治療薬として欠かせない薬剤です。しかし、副作用(感染症の合併、消化性潰瘍、糖尿病、高脂血症、高血圧、骨粗鬆症、肥満、多毛、ニキビ、脱力、不眠症・興奮・抑うつなどの精神症状など)を認めることもあり、慎重な投薬と経過観察が必要となります。

免疫抑制薬
副腎皮質ステロイド薬の効果が不十分であったり、副作用が出現した場合に、免疫抑制薬が使用されることがあります。免疫抑制薬としては、メトトレキサート(メソトレキセート)、アザチオプリン(イムラン)、シクロホスファミド(エンドキサン)などが用いられます。いずれも、原則的にステロイド療法に併用されます。免疫抑制薬は重篤な副作用を認めることもあり、とくに,高齢者、腎・肝障害、易感染性(免疫能低下)、骨髄障害、悪性腫瘍、妊娠中および妊娠の可能性のある患者,若年患者(シクロホスファミドなどは卵巣機能不全、無精子症も誘発する可能性があります)には注意する必要があります。これらの免疫抑制薬はPM/DMに対して保険適用はなく、その有効性と副作用を理解した上で使用することが大切です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
筋炎(筋肉症状)に対するステロイド療法の効果は大多数(75-85%)の患者さんで認められ、日常生活が可能となります。

生命予後は、悪性腫瘍、感染症、心肺合併症{物を飲み込む(嚥下)運動の障害 による誤嚥性肺炎、呼吸筋障害による呼吸不全、心筋障害による心不全などにより左右されます。悪性腫瘍を合併しない場合には、生命予後は比較的良好で、5年生存率90%、10年生存率80%とされています。しかし,その経過は個々の患者さんにより異なります。現在、一番問題となっているのが肺に炎症を起こし呼吸困難をきたす間質性肺炎、とくにその急激に進行するタイプ(急速進行性間質性肺炎)です。残念ながら、その原因は未だ不明で、治療法も確立されていません。この病態の解明と、有効な治療法の開発が膠原病の治療の中でも最も大きな課題となっています。