wikipediaより
クロロベンゼン (chlorobenzene) は、有機化合物の一種で、分子式 C6H5Cl と表されるハロゲン化アリール(芳香族ハロゲン化物)。無色で、可燃性の液体。ふつうは一置換体であるモノクロロベンゼンのことを指す。
概要 [編集]
クロロベンゼンは、DDT(かつて用いられ、現在では使用が禁じられた殺虫剤)の原料として、クロラール(トリクロロアセトアルデヒド)とともに用いられていた。しかし、現在DDTは多くの国で使用が禁じられ、中国・インドで農業用や発展途上国のマラリア対策用に製造されている程度である。
また、フェノールの合成法のひとつとして、ベンゼンを塩素化してクロロベンゼンとしたのち、高温下で水酸化ナトリウム水溶液とともに加熱する方法があり、これに用いられることがある。ただし、フェノールの工業的製造法はもっぱらクメン法が用いられており、この手法はあくまで実験室的手法である。
現在、クロロベンゼンの主な用途は、除草剤、色素、ゴムの合成中間体として重要なクロロニトロベンゼン、ジフェニルエーテルの原料としてのものである。
クロロベンゼンは、有機化学における高沸点の溶媒、塗料の溶媒として用いられる。また、自動車の部品の脱脂に用いられる。
1851年に、フェノールと五塩化リンの反応により初めて合成された。現在では、ベンゼンを鉄触媒の存在下で塩素化することで得ている
国際化学物質安全性カードより
物理的状態; 外観:
特徴的な臭気のある、無色の液体
物理的危険性:
化学的危険性:
加熱、高温面や炎との接触により分解して、有毒で腐食性のフュームを生じる。強力な酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。ゴム、ある種のプラスチックを侵す。
許容濃度:
TLV:10 ppm(TWA) A3 (生体内暴露指標記載あり)(ACGIH 2003)
暴露の経路:
体内への吸収経路:蒸気の吸入、経皮、経口摂取
吸入の危険性:
20℃で気化すると、空気が汚染されてやや急速に有害濃度に達することがある。
短期暴露の影響:
眼、皮膚を刺激する。この液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。中枢神経系に影響を与え、意識の低下を生じることがある。
長期または反復暴露の影響:
この液体は皮膚の脱脂を起こす。肝臓、腎臓に影響を与えることがある。
物理的性質 ・沸点:132℃
・融点:-45℃
・比重(水=1):1.11
・水への溶解度:0.05 g/100 ml(20℃)
・蒸気圧:1.17 kPa(20℃)
・相対蒸気密度(空気=1):3.88
・20℃での蒸気/空気混合気体の相対密度(空気=1):1.03
・引火点:27℃(C.C.)
・発火温度:590℃
・爆発限界:1.3~11 vol%(空気中)
・log Pow (オクタノール/水分配係数):2.18~2.84
環境に関する
データ
・水生生物に対して毒性がある。
・環境中に放出しないように強く勧告する。
身体への暴露
吸入 嗜眠、頭痛、吐き気、意識喪失。
皮膚 発赤、皮膚の乾燥。
眼 発赤、痛み。
経口摂取 腹痛。「吸入」参照。