wikipediaより
あその他の薬物療法 [編集]
抗IgE抗体
難治性喘息に対して行われる治療法である。モノクローナル抗体を用いるが遅発性アレルギーが出現するため2時間の経過観察が必要となる。
抗TNF抗体
近年注目されている分子標的薬である。
去痰剤
ムコダイン®,ムコサール®などがよく処方される。排痰に伴い、気道の抵抗が少なくなる。
14員環マクロライド
エリスロマイシンなどの少量長期投与を行う医師もいる。慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎などの合併例には有効である。
漢方薬
麻杏甘石湯、五虎湯、神秘湯、小青竜湯、麦門冬湯などを、証に応じて処方。 気管拡張剤エフェドリンは、麻杏甘石湯などに配合される生薬の麻黄から1885年(明治18年)長井長義によって単離抽出された。
携帯用吸入器 [編集]
吸入ステロイド薬や気管支拡張剤等、定量噴霧吸入器を用いる吸入薬にはフロンが含まれるエアロゾル製品があったが、モントリオール議定書に基づき代替フロンなどへ変更された。代替フロンを使用した製品も2020年までにドライパウダー製剤へ一本化される。ドライパウダー製剤は完全に自力で吸わなければならないため(蕎麦がすすれる程度の力が必要)、高齢者や年少児、重篤な発作が起こっている場合等吸気初速が遅い患者では吸えない可能性があることが問題となる。また、器具によっては吸入器を使った感覚が乏しいものもあり、稀に空になった製品を気づかずに使用し続けてしまう患者がいるが、ドライパウダー製剤はカウンター付きの物がある等、残りの使用回数を把握しやすくしている。エアロゾル剤は中身が見えない為、外観では残り使用可能回数が分からず、使用する際に初めて空と気づくことやまた薬効成分の含まれないガスのみを吸入することがあり問題となる。薬剤によっては吸入した際の違和感、味覚が残るため、それを敬遠する患者もいる。
アレルゲン免疫療法(減感作療法) [編集]
詳細は「アレルゲン免疫療法」を参照
中程度あるいは他の方法で喘息が制御できない場合はアレルゲンを繰り返し注射するアレルゲン免疫療法(減感作療法)を行う場合もある。90%以上がダニアレルゲンが原因である小児喘息の場合はアレルゲン免疫療法は有効性が高いという意見もある[9]。
WHOの見解書では、アレルゲン免疫療法(減感作療法)が喘息の自然経過を変える唯一の根本的治療法として記述されている[10]。
その他の治療 [編集]
喘息体操や乾布摩擦、体力づくりが効果を発揮する患者もいる[要出典]。ただし、呼吸筋を鍛えたことにより病状が良くなったと感じるため(ピークフロー値の上昇)で炎症が治まったわけではない。しかし、喘息体操や乾布摩擦が心身に良い影響を与え、喘息自体が良くなるという説はある[要出典]。また、古くから水泳によって改善するといったことも言われているが上記の乾布摩擦と同じ理屈であり、場合によってはプールの塩素によって更に悪化することもあり注意が必要である。水泳による疲労、塩素で喘息を発病した患者もいる。
直接の治療行為には該当しないが、ピークフローメーターにより日頃のピークフロー値の記録をしておくことで自覚症状のない軽い発作を発見できたり、発作がおきやすい時期、時間帯等を把握しやすくなるため、喘息の管理に有効である。ピークフローは症状の変化に先行し変化することが知られている。また重篤な患者ほど自覚症状が出現しにくいためピークフローによって客観的な評価が必要である。ピークフローは3回測定を行い、最高値を記録する。
精神的要因が発作を起こす直接的な引き金となるごく一部の患者には安定剤や心理療法が有効な場合がある[要出典]。しかし、喘鳴が聞こえないが呼吸機能は低下している患者や呼吸機能や酸素飽和度に異常はなくても炎症の悪化により一時的に息苦しい患者、ブロンコレアで痰が大量に詰まり息苦しさを訴えている患者などの場合、それを精神的な訴えととらえ心療内科に転院させて安定剤や心理療法で治療しても無効である。また、難治性喘息に心理療法を施すことについては有効で劇的に良くなっているという説と無効で難治性喘息患者にとっては日常生活自体が慢性炎症の悪化要因であることが多く、無理を軽減することで緩解したと勘違いしているのではないかという説がある。心理療法で喘息が良くなった難治性喘息患者がいるのは事実である[要出典]。
喘息が治る事を過剰に宣伝し、大量の商品、サプリメントなどを買わせる医師や業者がいるので注意が必要。安易にこれらの医師や業者を信じ自然治癒力や自律神経のコントロールだけに固執した結果、発病初期や炎症の悪化時に吸入ステロイドや内服のステロイドによる十分な抗炎症治療を受けず難治化していき、吸入ステロイドを中心とした濃厚な治療を受けてもコントロールできない患者や発作治療薬だけを乱用し続けている患者も一部にいる。
慢性呼吸不全の患者には在宅酸素療法を行う。
気管支喘息の亜型 [編集]
アスピリン喘息 [編集]
アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬の服用から数分~1時間後に鼻汁過多、鼻閉、喘息発作が起こる。成人喘息患者の約21%は誘発試験でアスピリン喘息を起こしたとの報告がある[11]。この反応はアレルギーによるものではない。COX阻害によるロイコトリエン代謝経路に傾くためにおこる代謝性疾患である。そのためCOX2阻害薬にすると発生率が低下すると考えられている。しかし、COX2阻害薬も他のNSAIDsと同様、喘息患者には禁忌となる。そのためロイコトリエン拮抗薬が用いられることが多い。鼻茸や嗅覚低下を合併することが多い。
運動誘発性喘息 [編集]
健常者では運動によって気道の径が変化することはないが、喘息患者の場合は運動によって気管収縮が誘発される。特に、運動によって臨床的な症状が出現する場合を運動誘発性喘息という。ロイコトリエン拮抗薬が効果的である。
吸入アレルゲンによる喘息 [編集]
吸入アレルゲンに対して遅発性喘息反応が起こることがある。曝露後、数時間から数日間気道過敏性が亢進するのだが、詳細な機序は不明である。過敏性肺炎とは異なり1型アレルギーである。
咳喘息 [編集]
咳喘息(cough variant asthma; CVA)の症状は、慢性に咳が出る(8週間)。呼吸困難・喘鳴はない。症状が非特異的で、生理学検査(スパイロメトリーなど)で異常が認められず、ドクターショッピングを引き起こしやすい。気管支拡張薬が有効。
気管支喘息と鑑別を要する疾患 [編集]
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease; COPD)
気管支喘息と同様に特に感冒罹患時に喘鳴、呼吸困難をきたすことがある。気管支喘息よりも気管支拡張剤に対する反応が悪く喫煙との関連が深く、また高齢者に多くみられることが異なる点である。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(Allergic BronchoPulmonary Aspergillosis; ABPA)
気管支喘息患者の1%程度にみられると報告される。真菌の一つであるアスペルギルスに対するアレルギーによりおこり、喀痰中の粘液栓、中枢性気管支拡張、X線写真における肺浸潤影などを特徴とする。ロイコトリエン拮抗薬との関連が指摘されている。
アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグストラウス症候群)
気管支喘息患者の5000人に1人程度に発症すると報告される。病気の本体は全身の小動脈~細動脈の炎症(血管炎)であり、発熱、手足のしびれ(末梢神経炎)、筋肉痛、関節痛など多彩な症状を呈する。一過性の肺浸潤影が認められることもある。
ブロンコレア(気管支漏)
卵の白身のような外観を呈した喀痰を1日に100ml以上、難治時に喀出する病態。患者はかなりの苦痛を伴うがほとんどの場合心理的なものと判断され、診断も治療も受けられず難治化していく。専門医による適切な診断と専門医の下での治療が必要。喘息にブロンコレアが合併すると難治性喘息に移行する事が多い。
one airway one disease [編集]
one airway one diseaseという考え方が提唱されている。喘息とアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がよく合併することはよく知られている。これらを同時に治療することで治療効果が高まると考えられている。特に、アレルギー性鼻炎や花粉症の合併は多い。アレルギー性鼻炎の治療は症状に合わせて選択される。
詳細は「アレルギー性鼻炎」を参照
薬剤のタイプ 鼻漏 鼻閉 くしゃみ かゆみ 眼症状
経口抗ヒスタミン薬 ++ ± ++ ++ ++
経口抗ロイコトリエン薬 + ++ + + +
点鼻抗ヒスタミン薬 + ± + + -
点鼻ステロイド薬 ++ ++ ++ ++ +
点鼻血管収縮薬 - ++ - - -
点鼻抗コリン薬 ++ - - - -
点鼻抗肥満細胞薬 + + + + -
runより:非常に長い記事でしたが気管支喘息は患者も多く毎年3000人が日本で亡くなってます。シックスクール、シックハウス症候群、化学物質過敏症でも発症するので怖い病気です