wikipediaより
検査 [編集]
理学所見
聴診にて、呼吸音で笛声音(wheeze「ウィーズ」, piping rale)が発作時に聴取されることが多い。
ただし必ず発作時に喘鳴が聴取されるとは限らない。症状は気候や時間帯で変化する。
呼吸数増多(英 tachypnea)やチアノーゼ(英 cyanosis)がみられることもある。
気道可逆性試験
気管支喘息の診断には気道閉塞の可逆性を証明することが重要である。β2刺激薬吸入前後、あるいは2-3週間のステロイド内服・吸入前後で呼吸機能検査を行い、1秒量が200ml以上かつ12%以上改善した場合、気道可逆性ありと診断する。ただし検査時に喘息発作が起きていない場合、気道の可逆性を証明できないこともあるため自宅にピークフローメーターを持って帰ってもらい、ピークフロー値に20%以上の日内変動がみられた場合も気道可逆性ありと診断できる。
スパイロメトリー
スパイロメーターを用いた呼吸機能検査。気管支喘息では気道の狭窄により呼気の排出速度が低下する。(FEV1.0<75%)
血液ガス
胸部X線写真
通常は異常を認めない。喘鳴や気道狭窄を来す他の疾患(腫瘍や肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など)や心不全(心臓喘息)を除外することが重要である。
血液検査
末梢血中好酸球の増加や非特異的IgE値の上昇がみられれば、本疾患の補助診断となりうる。また、アレルゲンを調べるために、アレルゲン特異的IgE抗体を測定する。
病理学的所見
気管支壁に好酸球浸潤と平滑筋肥大が認められる。
アスピリン喘息では鼻茸を合併することが多い。
専門的検査
専門医の下ではコントロール不良例に限り、肺機能の評価、気道過敏性の試験の他、人工気象室での発作程度の評価やエルゴメータでの運動誘発性の評価なども行う場合があるが初期治療の段階ではほとんど行われない。
長期管理のマネジメント [編集]
気管支喘息のガイドラインとしては主だったものとしては日本アレルギー協会による一般臨床医のための喘息ガイドライン2007、日本アレルギー学会によるJGL2006,WHOによるGINA2006及びGINA2008,アメリカのガイドラインであるNAEP2007などが知られている。
残念なことに喘息の診断基準というものは完成していない。日本アレルギー協会のガイドラインでは成人喘息の診断の目安が記載されている。
喘息に特徴的な症状
発作性の呼吸困難、喘鳴、夜間や早朝に出現しやすい咳。
可逆性気流制限
自然にあるいは治療により寛解する気流制限が認められる。PEF(ピークフロー)値の日内変動が20%以上、β2刺激薬吸入によって1秒率が12%以上増加、かつ絶対量で200ml以上の増加が認められる。
気道過敏性の亢進
アセチルコリン、ヒスタミン、メサコリンに対する気道収縮反応の亢進が認められる。
気道過敏性を認める疾患は喘息だけではなく、咳喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、ウイルス性呼吸器感染後などでも認められるため注意が必要である。
これらによって気管支喘息と診断をしたら、長期管理を開始する。
なお、発作中であったら発作の治療を優先する。
長期管理の方法はガイドラインによってわずかな差異があるものの基本は殆ど同じであるためGINA2006に基づいて説明する。なおICSは吸入ステロイド、LABAは長期作用型β2刺激薬、LTRAはロイコトリエン受容体拮抗薬である。
薬物療法 ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5
第一選択 なし 低用量ICS 低用量ICS+LABA 高用量ICSプラスLABA 経口ステロイド
オプション なし なし 高用量ICSまたはLABAの代わりにLTRA LABAの代わりにLTRA なし
GINA2006では治療目標である良好なコントロールに関して問診によって評価できるとしている。
日中に週3回以上症状が出現する、喘息によって日常生活によって制限がある、夜間に喘息症状のために早朝おきることがある、症状を抑えるために気管支拡張薬を週に3回以上使用した、ピークフローが自己最高値もしくは予測値の80%未満である、喘息増悪発作が過去1年に1回以上ある、以上の6項目のうち3項目以上に該当したらコントロール不良であり、ひとつでも該当すればコントロール不十分、また喘息増悪発作が最近認められたらそれだけでコントロール不十分とする。
3ヶ月ごとに治療効果判定を行い、コントロール良好群であれば、ステップダウンし、コントロール不良群であればステップアップする。コントロール不十分が持続する場合もステップアップを検討する。JGL2006ではステップ1が症状によって規定されており、その症状にコントロールするようにコントローラーを決定する。
ステップ2のコントローラーでステップ2の症状が認められればコントロール不良でありステップ3にステップアップする。
喘息発作のマネジメント [編集]
喘息発作は時に、意識障害、死亡することもある緊急事態である。リリーバーによって改善がみられないため救急部に受診するというのが典型的である。初期治療としては酸素投与とリリーバー投与となるが、呼吸困難、喘鳴の原因が心疾患など喘息発作以外の可能性があるために注意が必要である。喘息発作の程度は呼吸困難はあるが横になれ動ける小発作、呼吸困難で横になれないが動ける中発作、呼吸困難で動けない大発作に分類される。
軽度 中等度 重度
呼吸困難 苦しいが横になれる 苦しくて横になれない 苦しくて動けない
会話 通常会話 短い文章 単語のみ
呼吸状態 呼吸補助筋の使用なし 呼吸補助筋の使用あり 胸骨上部陥凹
PFE値 >80% 60~80% <60%
SpO2 >95% 91~95% <90%