室内空気中化学物質についての相談マニュアル作成の手引き13 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2)壁紙等の規格

 壁紙にはJIS規格があり、退色性、耐摩擦、隠ぺい性、施工性、湿潤強度、ホルムアルデヒド放出量、について品質の規格が定められている。このうちホルムアルデヒド放散量についてはデシケーター法による試験において 1mg/L 以下とされている。
 また、壁紙施工用でん粉系接着剤にもJIS規格が定められており、接着強さ、かび抵抗性、ホルムアルデヒドの放出量、不揮発分、pH、凍結融解安定性、について品質の規格が定められている。このうちホルムアルデヒド放散量については、デシケーター法による試験において 1mg/L 以下とされている。
 いずれについても、試験切片のサイズ、作成法等について規定があるので、詳細については、JIS A 6921 もしくは JIS A 6922 を参照いただきたい。

3)業界規格・指針等


(1)ISM規格
 壁装材料協会*ではインテリア材料(壁紙)について「ISMガイドライン」を定め、これを満たす商品についてISMマークの表示を行っている。
 概要は以下の通りであるが、詳しくはパンフレットを入手して確認していただきたい。

*URL: http://wacoa.topica.ne.jp/ism/

安全規定 物質名 商品の判定基準
ホルムアルデヒド 0.01ppm 以下
残留VOC 300μg/m3以下
塩化ビニルモノマー* 0.1ppm 以下
重金属**  
  (1)バリウム 300mg/kg 以下
  (2)鉛 5mg/kg 以下
  (3)クロム 5mg/kg 以下
  (4)アンチモン 1mg/kg 以下
  (5)ひ素 0.5mg/kg 以下
  (6)カドミウム 1mg/kg 以下
  (7)水銀 0.1mg/kg 以下
  (8)セレン 5mg/kg 以下


* 検出されないこと
**試験機関の検出限界値以下であること。特に(2)~(8)は原材料の不純物レベルまで管理して検出限界以下を保つこと。

原材料・製造工程における規則

1)沸点400℃/760mmHg以上の可塑剤を使用する。
2)印刷インキは有機溶剤5%以下の水性インキを使用すること。
3)ハロゲン系及び芳香族系の溶剤を使用しない。
4)発泡剤にクロロフルオロカーボン類を使用しない。
5)有機リン系及びハロゲン系の難燃薬剤を使用しない。

 ISMと類似の海外での規格として、ドイツのRAL、欧州のIGIによるEマーク、フランスのNFマークなどがある。この中ではRALが最も厳しいとされる。ISMではこれらと同等かそれ以上に厳しい規格が設定されている。

(2)SV規格

 壁紙製品規格協議会では、壁紙製品に対して「壁紙製品標準規格(SV規格:Standard Value)を定め、これに適合する製品についてSVマークの表示を認めている。概要は以下の通りであるが、詳しくはホームページ*等を利用して入手し、確認していただきたい。

http://www.svkikaku.gr.jp/first.html

規格値概要(化学物質関係のみ)

試験項目 紙系壁紙 ビニル壁紙 オレフィン系等壁紙
ホルムアルデヒド(ppm) 0.05以下* 同左 同左
重金属(mg/kg)      
  (1)ヒ素 5以下 同左 同左
  (2)鉛 30以下
  (3)カドミウム 5以下
  (4)クロム(VI) 20以下
  (5)水銀 2以下
  (6)セレン 10以下
塩化ビニルモノマー(mg/kg) 0.1以下 同左 同左
TVOC(μg/g) 100以下 同左 同左
TEX芳香族(μg/g) 10以下 同左 同左
安定剤 原材料には鉛、カドミウム、有機スズを含有する安定剤は使用しない。
可塑剤 原材料には沸点300℃以上の難揮発性可塑剤を使用する。フタル酸ジ-n-ブチルは使用しない。
発泡剤 原材料にはフルオロカーボン類は使用しない。
*壁紙100g中のホルムアルデヒド12mgが0.05ppmに相当。この他に退色性、耐摩擦、隠蔽性、施工性、湿潤強度等の性能についても規格を定めている。


(3)「住宅内の化学物質による室内空気質に関する指針」

 (社)住宅生産団体連合会が平成11年3月にとりまとめ、平成13年3月に改訂された。ホルムアルデヒド放散量低減のための対策、優先取組物質に関する注意事項、換気対策、顧客への説明指針等をまとめたもの。当連合会ホームページより入手可。

例)内装仕上げ材に用いる合板類はホルムアルデヒドの放散量が日本農林規格(JAS)で定めるFc0等級レベルのものとし、MDF及びパーティクルボードはホルムアルデヒドの放出量が日本工業規格(JIS)で定めるE0等級レベルのものとする。ただし、通気性がある畳・カーペットなどの下地板も同様とする。


(4)「住宅用接着剤に含まれる揮発性有機化合物の指針」

 日本接着剤工業会が主な住宅用接着剤について、それぞれ含有量制限や方針を示したもの。当工業会が作成予定の「住宅用接着剤と室内環境」に収録予定。

例) ユリア樹脂系接着剤 ホルムアルデヒド含有量 1%以下
フェノール樹脂系接着剤   〃 0.5%以下 等


(5)「室内における健康安全環境を考えた塗装設計施工マニュアル」

 (社)日本塗料工業会が塗装業者や工務店塗装設計担当者に対する簡単なマニュアル。

*当マニュアルは工業会より購入可能。