建材の規格等について
1) 木質建材
木質建材は家屋中で最も使用量が多いことから、化学物質の放散量についての関心が高いと思われる部分である。現在、一部建材のホルムアルデヒドの放散量について、日本農林規格(JAS)、日本工業規格(JIS)の規格が存在する。
(1)日本農林規格(JAS)
JASでは建材のうち、普通合板、構造用合板、コンクリート型枠用合板、難燃合板、防炎合板、構造用パネル、フローリング、集成材、構造用集成材、単板積層材及び構造用単板積層材についてホルムアルデヒド放散量に応じた等級を定めており、これらにはJASマーク*が添付されている。
*URL:http://www.jasnet.or.jp/rule/mark2.html
現在の表示区分及び規格概要は以下の通りである。
表示の区分 ホルムアルデヒド放散量※1
平均値 最大値
FC0 0.5mg/リットル以下 0.7mg/リットル以下
FC1 1.5mg/リットル以下 2.1mg/リットル以下
FC2
(FC2-S※2) 5.0mg/リットル以下
(3.0mg/リットル以下※2) 7.0mg/リットル以下
(4.2mg/リットル以下※2)
※1 一定量の蒸留水を入れた20℃のデシケーター内に、一定量の試料を蒸留水に接触しない形で24時間放置し、蒸留水に吸収されたホルムアルデヒド濃度を測ったもの。
※2 集成材及び構造用集成材については( )内に掲げる表示の区分及び数値
(2)日本工業規格(JIS)
JISでは木質系建材のうち、MDF(Medium Density Fiberboard,中密度繊維板)、パーティクルボードについて、ホルムアルデヒド放出量に応じた等級を定めており、これらにはJISマークが添付されている。
現在の表示区分及び規格概要は以下の通りである。
表示の区分 ホルムアルデヒド放散量※
E0 0.5mg/リットル以下
E1 1.5mg/リットル以下
E2 5.0mg/リットル以下
※ 一定量の蒸留水を入れた20±1℃のデシケーター内に、一定量の試料を蒸留水に接触しない形で24時間放置し、蒸留水に吸収されたホルムアルデヒド濃度を測ったもの。
平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の住宅性能表示制度においては、合板等ホルムアルデヒドの放散量に係る規格のある建材についての使用の有無とその等級(4~1)を表示することとなっている。また、(社)住宅生産団体連合会においては、「住宅内の化学物質による室内空気質に関する指針」を平成11年3月2日に発表し、建材について使用を推奨する等級について言及している。当指針はその後平成13年3月2日に改訂され、JIS、JASの改正に合わせて記述が見直されたほか、平成11年の指針公表以降に厚生省(当時)から新たに示された物質についての指針や、換気等についての記述が追加された。
輸入建材については、JASでは認定を受けている工場で生産されたものの他、持ち込み検査によってもJASマークの表示が可能となっている。JIS関係では、JISマークを取得していないJIS規格外品について、これと同等のものとして(社)日本建材産業協会が「建材表示制度・空気環境性能表示」を創設し、繊維板とパーティクルボードを対象として、申請品についてホルムアルデヒドの放出量を「FECマーク」により表示している。
現在、ホルムアルデヒド放散量についての関心が高まっていることもあり、FC1以下のレベルの合板、E2以下のレベルのMDF、パーティクルボードの入手が困難なほどになっているということである。
<参考>
JAS、JIS規格においては、様々な名前の付いた建材が登場してきているが、これらは張り合わせる木材の形状によって大きく分類できる。