シックスクール症候群などの学校環境衛生に対する日本の取り組みは、ここ数年で急速に活発化し、学校環境衛生の基準、有害化学物質の室内濃度削減に向けた啓蒙パンフレット、次年度に予定されているシックハウス対策参考資料の作成など、より具体的な取り組みが行われるようになってきました。
しかしながら、学校環境衛生の基準にある4種類の化学物質の室内濃度指針値は、あくまで指針値であり、それ以下の濃度であれば安全と言えるものではありません。
これらの指針値を下回る極めて微量の化学物質に対して過敏症状をきたす化学物質過敏症を訴え、学校に通えない子どもたちが存在することも重要な課題であり、また、何らかのアレルギー疾患やアトピー疾患の症状を有する子どもたちが、そのような症状を訴えることが多いことも考えていかねばなりません。
このようなことからも、たとえ指針値以下の室内濃度であったとしても、のどや眼などの刺激、めまい、頭痛などの体調不良や化学物質に対する過敏症状を訴える子どもたちが存在することは、決して異常なことではなく、むしろその存在を冷静に受け止め、それぞれの子どもたちに応じた対策を行い、一人でも多くの子どもたちが安心して通える学校環境にしていく必要があります。