酒井医院のホームページ
http://homepage2.nifty.com/fwkx2334/link41.htm
1)はじめに
戦後、アレルギー疾患が増えたのは、環境が変わってアレルゲンが増えた、これが患者増加の原因だから、原因物質を遠ざければよいと考えられてきた。
しかし、そのほかにも戦後の日常生活にアレルギー反応を促進する要因がありそうである。
アレルギー疾患を増やさないためには、そしてアレルギー体質を改善するためにはどうすればよいかを考える。
2)アレルギー疾患が増えた要因
a)環境の変化
住居の機密性、じゅうたん使用によるダニの発生、大量のスギ花粉の飛散、ジーゼルエンジンによる大気汚染、食物添加物、食品アレルゲン、化学物質など今回は、細菌感染症の減少による免疫機構の変化、リノール酸過剰摂取によるアレルギー反応の促進、ストレスに伴う自律神経・内分泌異常について考える。
b)Th1/Th2細胞のアンバランス
単球・マクロファージがウィルス感染や細菌感染に反応すると、インターロイキン12(IL-12)を分泌する。IL-12はTh1細胞に作用しINF-γを分泌し、INF-γはTh2細胞からのIL-4、IL-5の分泌を抑制する(アレルギー反応を抑制する)。健常人はTh1細胞とTh2細胞のバランスが保たれているが、アトピー疾患の患者はダニ、スギなどの抗原に対して、感作Tリンパ球がTh2細胞へ分化しやすい(Th1/Th2細胞のアンバランス)素因を持つ
c)起炎物質によるアレルギー反応の促進
アラキドン酸はリノール酸から作られ、体の細胞膜の構成成分せある。何らかの刺激が好酸球や肥満細胞に加わると、いくつかの起炎物質が分泌され、アレルギー炎症を促進する。
すなわち、アラキドン酸由来の気炎物質の過剰産生が問題である。
d)ストレス
人間の体の中で、自律神経と免疫機構、および内分泌系とは密接に関連しあっており、自律神経失調を発症するストレスは免疫機構にも影響が及ぶ。I型アレルギー(即時型)反応による喘息、花粉症はIgE抗体による肥満細胞からの化学伝達物質の分泌とその後に起こる好酸球性炎症によって症状が悪化する。
この好酸球性炎症はステロイドホルモンによって抑制されるが、ストレス状態が持続してステロイドホルモンが不足状態になるとアレルギー症状を悪化させてしまう。