結論:
国内における抗菌剤を含めてバイオサイドの管理方法について、欧米と同等レベルの管理を求められる可能性が大きくなっている。
バイオサイドの範囲・定義を明確にするとともに、バイオサイド(有効成分)と製品について、暴露防止対策等を含めた管理方法を考慮していく必要がある。
今回実施した消費者でのアンケート調査、市販製品における製品表示、MSDSの実態調査の結果から、抗菌加工製品では、ACD等の慢性的な健康被害に関して、製品表示、MSDS が消費者への製品情報の伝達手段として十分に生かされていない現状が確認できた。
今後、①健康被害の原因究明(原因製品と原因化学物質の関連性を明らかにすること)、②MSDS の充実(労働衛生上の健康被害の発生防止のために、抗菌剤メーカーから中間・最終製品メーカーへ、用途、曝露ルート・曝露レベルを考慮したリスク評価も含めた有害性情報等の製品情報を伝達できること)、③消費者にも具体的でわかりやすい製品表示を通じて、製品情報の伝達機能を質量ともに高めていくとともに、製品表示、業界・メーカーのホームページ等を通じて、幅広く製品情報を公開して、消費者の理解度を高めていくことが重要である。
消費者が抗菌加工製品を安全に使用できるかどうかを評価するためには、抗菌加工製品に使用されている抗菌剤が、どのような毒性(ハザード)を有しているか、どのような経路で、どのくらいの量が体内に取り込まれる可能性があるか等を明らかにする必要がある。
すなわち、抗菌加工製品の安全性評価のためには、抗菌剤の毒性(ハザード)だけでなく、抗菌剤への曝露の実態に即したリスクの程度を予測する必要がある。
特に、皮膚バリア・代謝機能等が完成していない乳幼児、皮膚バリア・代謝機能等が低下してくる高齢者、特に化学物質への感受性が特に高くなっているアレルギー患者・化学物質過敏症患者等への影響を考慮しつつ、抗菌剤・抗菌加工製品の安全性評価を厳密に実施する必要がある。
runより:検索に「化学物質過敏症」と書き込んでください。文献番号やタイトルでクリックするとこの記事になります。その下にpdfファイルがあり膨大な資料があります。