第1 シックスクール問題とは
シックスクール問題とは、学校施設に起因するホルムアルデヒド、トルエン等の化学物質に汚染された室内空気の暴露(曝されること)による健康被害に加え、体質等により極微量な化学物質に過敏に反応する児童生徒等の対応を含めた複合的な問題の総称である。
体調不良の主な症状は多岐にわたり個人差が大きく、原因物質も多種多様であることが特徴的である。学校においては、シックスクール問題が発生しないよう原因と疑われる物質の低減を図ることが重要である。
また、一般の児童生徒等が反応しない極微量な化学物質にも過敏に反応してしまう児童生徒等は、在籍する学校環境に適応できないことがあるため、当該児童生徒等の実態に応じた個別的配慮が必要となる。
なお、シックスクール問題を大別すると、次の3つに分類される。
1 シックハウス症候群
住居や学校の新築・改築・改修等の直後に建材、塗料等の施工材及び家具、机・いす等の学校用備品等に由来するホルムアルデヒド、トルエン等の化学物質に汚染された室内空気の暴露によって、目や気道粘膜の刺激症状や頭痛などの様々な体調不良を起こすもので、当該建築物以外ではその症状は和らぐが、再度、当該建築物に入ると症状が再発する特徴がある。
このため、換気対策等を十分に講じ、時間経過とともに原因物質の濃度が低減すれば、通常の学校生活は可能である。
2 化学物質アレルギー
教材・文具、床ワックス・芳香剤・洗剤・殺虫剤等に含まれる特定の化学物質の暴露によって、アレルギー症状を引き起したり、既往症が悪化するもので、原因物質を特定することが重要である。なお、原因物質が特定され、当該物質を学校環境から除去すれば、通常の学校生活は可能である。
3 化学物質過敏
一般の児童生徒等が反応しない極微量な化学物質に過敏に反応してしまう児童生徒等が、学校施設の新築や大規模な改築・改修、学校用備品の大幅な更新等の際に、室内に放散した極微量の化学物質に過敏に反応し、頭痛やめまい、集中力の低下等様々な過敏症状を起こすもので、通常の学校生活に支障の出ることがある。
なお、生活環境中の様々な化学物質に過敏に反応してしまう多種類化学物質過敏の例もある。
特定の化学物質に過敏に反応する場合は、学校環境の中で当該物質の暴露を避けることによって、ある程度の学校生活は可能である。しかし、多種類化学物質過敏の場合は、通常の学校生活を送ることが困難な場合が多い。
化学物質過敏の児童生徒等の対応については、専門医・保護者等との連携が不可欠である。