WHOからの対策2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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予防政策(Precautionary Policies)
世界的に、科学的不確実性を有する健康リスクへの対処として「予防的アプローチを採用しようという動きが政府内外で活発になっています。国際的な保健機関としてWHOは通常、各国当局に対し、確立された知見を超えるような政策の立案を推奨していません。しかし1999年のロンドンで開催された第3回環境と健康に関する政府会議(Third Ministrial Conference on Environment and Health)で調印された宣言書では、WHOは「リスクの評価に予防原則を忠実に適用し、さまざまな危険に対してより予防的なアプローチをとる必要性」を検討するよう促されました。
用心を促すことを目的とした様々な政策が、科学的不確実性の存在する公衆衛生上、労働衛生上、環境上の健康問題に対する関心に応えるためにつくられてきました。これには次のものがあります。
・ 予防原則(Precautionary Principle)
・ 慎重なる回避(Prudent Avoidance)
・ ALARA (As Low As Reasonably Achievable;合理的に達成できる限り低く)
予防原則(Precautionary Principle)は、科学的不確実性が大きな場合のリスクに対処するために適用される政策です。潜在的に重大となり得るリスクに対して科学的な研究結果を待たずに対策を取ることが必要性であることを反映しています。
EU加盟国にはローマ条約があり、そこには「環境に関する欧州共同体の政策は、(中略)予防原則に基づくべきである」と記述されています。予防原則が採用された最近の例には、狂牛病(BSE)感染へのリスクを抑制しようという観点から欧州委員会が取った英国の牛肉輸出禁止の決定があります。


欧州司法裁判所もこの決定が正当であるとの判決を下記の通り下しました。
「リスクの重大性と事態の緊急性に鑑み、また決定の目的に留意すると、欧州委員会が決議採択の際にとった手法は、当面の決定であり、より詳細な科学的情報が調査中であったとしても、明白に不適切なものであるとは言えない。

健康リスクの存在やその大きさに不確実性がある場合、欧州委員会はそのようなリスクが現実のもの、重大なものとなるまで待つことなく防護措置を取ったものと考えられる。」

2000年2月2日の欧州委員会は、予防原則に関する重要な通達を承認し、その適用に関するガイドラインを提示しました。この通達によると、予防原則に基づく

対策とは次のようにあるべきとしています。
1. 選択された防護水準に見合うものであること
2. その適用に差異があってはならない、つまり類似する状況に対して同等の対応をとること
3. 既に遂行されている類似措置と矛盾があってはならない。つまりあらゆる科学データが入手できるような同等分野のものにすでに講じられている対策に対し、その有効範囲と性質において同等のものであること 2
4. 対策を実施する場合と実施しない場合の、コストと期待できる便益を検討すること(適切かつ可能であるならばコスト・便益の経済分析を含む)に基づいたものであること
5. 暫定的なものであること。つまり新しい科学データに照らした再検討することを条件とし、
6. より包括的なリスク評価に必要な科学的証拠を提出する責任を課すことができること
この定義からすれば、予防原則とは、コスト・便益への考慮を含めたリスク研究の評価を必要とする点で「リスク重視(risk-oriented)」の原則といえます。それは、より科学的に根拠のある対策を裏付けるデータが得られるまでの間、健康に対して重大となり得る可能性を秘めた脅威に対し暫定的な対策を立案するために使われることが意図されています。