薬物療法
うつ病に対しては、抗うつ薬 の有効性が臨床的に科学的に実証されている。ただし抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1週間ないし3週間の継続的服用が必要である。このことをしっかりと理解して服薬する必要がある。
抗うつ薬のうち、従来より用いられてきた三環系抗うつ薬 あるいは四環系抗うつ薬 は、口渇・便秘・尿閉などの抗コリン作用 や眠気などの抗ヒスタミン作用 といった副作用 が比較的多い。
これに対して近年開発された、セロトニン 系に選択的に作用する薬剤SSRI や、セロトニンとノルアドレナリン に選択的に作用する薬剤SNRI 、NaSSA等は副作用は比較的少ないとされるが、臨床的効果は三環系抗うつ薬より弱いとされる。
また、不安・焦燥が強い場合などは抗不安薬 を、不眠が強い場合は睡眠導入剤 を併用することも多い。またカルバマゼピン やベンゾジアゼピン系 もしばしば用いられている。
なお、抗うつ薬 による治療開始直後には、年齢に関わりなく自殺 の危険が増加する危険性があるとアメリカ食品医薬品局 (FDA) から警告が発せられた。また、近年セント・ジョーンズ・ワート を始めとしたハーブ の利用にも注目が集まっているが、有効性はまだ不明である。なお、非定型うつ病については、本来モノアミン酸化酵素阻害薬 (MAO阻害剤)が第一選択になり、欧米では活用されているが、2010年現在日本で認可されているものはない。
認知行動療法
外界の認識の仕方で、感情 や気分をコントロールしようという治療法。
抑うつの背後にある認知のゆがみ を自覚させ、合理的で自己擁護的な認知へと導くことを目的とする。対人関係療法 も認知行動療法の要素を持つ。
電気けいれん療法 (ECT)
頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行う。薬物療法が無効な場合や自殺の危険が切迫している場合などに行う。有効性・安全性とも高い治療法であり、保険診療でも認められている。
経頭蓋磁気刺激法 (TMS)
頭の外側から磁気パルス を当て、脳内に局所的な電流を生じさせることで脳機能の活性化を図るもの。保険は未承認。
その他、実験的段階にあるものや、限定的に行われる治療法として以下のようなものもある。
断眠療法
うつ病患者が夜間眠らないことでうつ症状が急速に改善するという治療法である。薬物治療への効果が乏しく、うつ状態が長く続いているような場合に施行される。
光療法
強い光(太陽光あるいは人工光)を浴びる治療法。過食や過眠のあることが多い、冬型の「季節性うつ病 」(高緯度地方に多い冬季にうつになるタイプ)に効果が認められている。冬季うつ病の第一義的な治療法は光療法とされ、抗うつ剤よりも有効性が高いことが確認されている 。
また、光療法が非季節性のうつ病の治療に有効であることが実証された 。
光療法がうつ病に効果があるかどうかは古くから検討されてきたものの、有効、無効の両方の報告があり、有効であることの決定的な証拠はなかったが、最新の研究成果によりその有効性が実証されるに至っている。
運動療法
有酸素運動の有効性が学会で指摘されている。入院時の日課とする病院もある。
runより:あまりにも長い記事の為これでも抜粋してます