副作用 再評価結果における安全性評価対象例430例中、副作用は37例(8.6%)に認められた。主なものは、消化管潰瘍が20件等であった。
1.重大な副作用:次の症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。
1).ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明):ショック、アナフィラキシー様症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).誘発感染症、感染症増悪(頻度不明)。
3).続発性副腎皮質機能不全、糖尿病(頻度不明)。
4).消化管潰瘍、消化管穿孔、消化管出血(頻度不明):消化管潰瘍、消化管穿孔、消化管出血が現れるとの報告があるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行う。
5).膵炎(頻度不明)。
6).精神変調、欝状態、痙攣(頻度不明)。
7).骨粗鬆症、大腿骨頭無菌性壊死及び上腕骨頭無菌性壊死等の骨頭無菌性壊死、ミオパシー(頻度不明)。
8).緑内障、後嚢白内障、中心性漿液性網脈絡膜症、多発性後極部網膜色素上皮症(頻度不明):連用により眼圧上昇、緑内障、後嚢白内障(症状:眼のかすみ)、中心性漿液性網脈絡膜症・多発性後極部網膜色素上皮症(症状:視力低下、ものがゆがんで見える、ものが小さく見える、視野の中心がゆがんで見えにくくなる、中心性漿液性網脈絡膜症では限局性網膜剥離がみられ、進行すると広範な網膜剥離を生じる多発性後極部網膜色素上皮症となる)を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。
9).血栓症(頻度不明):血栓症が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う。
10).心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤(頻度不明):心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤が現れることがあるので、長期投与を行う場合には、観察を十分に行う。
11).喘息発作の増悪(頻度不明):気管支喘息患者の喘息発作を増悪させることがあるので十分注意する。
2.その他の副作用:次の症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には適切な処置を行う。
1).投与部位:(頻度不明)関節の不安定化(関節腔内注射時)[症状が現れた場合には投与を中止する(関節の不安定化は投与直後に患部を強く動かすと起こりやすいとされているので、関節腔内投与後は患者をしばらく安静にさせる)]、疼痛増悪・腫脹増悪・圧痛増悪(関節腔内注射時)、局所組織萎縮による陥没(筋肉内又は皮内注射時)。
2).内分泌系:(頻度不明)月経異常、クッシング症候群様症状等。
3).消化器:(頻度不明)下痢、悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進等。
4).精神神経系:(頻度不明)多幸症、不眠、頭痛、眩暈等。
5).筋・骨格:(頻度不明)筋肉痛、関節痛等。
6).脂質・蛋白質代謝:(頻度不明)満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝等。
7).体液・電解質:(頻度不明)浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス等。
8).眼:(頻度不明)網膜障害、眼球突出等。
9).血液:(頻度不明)白血球増多等。
10).皮膚:(頻度不明)ざ瘡、多毛、脱毛、皮膚色素沈着、皮下溢血、紫斑、皮膚線条、皮膚そう痒、発汗異常、顔面紅斑、脂肪織炎等。
11).その他:(頻度不明)発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数増減及び精子運動性増減、尿路結石、創傷治癒障害、皮膚菲薄化・皮膚脆弱化・結合組織菲薄化・結合組織脆弱化。
使用上の注意 (禁忌)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.感染症のある関節腔内、感染症のある滑液嚢内、感染症のある腱鞘内又は感染症のある腱周囲[免疫機能抑制作用により、感染症が増悪することがある]。
3.動揺関節の関節腔内[関節症状が増悪することがある]。
(原則禁忌)
1.有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者[免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある]。
2.消化性潰瘍の患者[肉芽組織増殖抑制作用により、潰瘍治癒(組織修復)が障害されることがある]。
3.精神病の患者[大脳辺縁系の神経伝達物質に影響を与え、症状が増悪することがある]。
4.結核性疾患の患者[免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある]。
5.単純疱疹性角膜炎の患者[免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある]。
6.後嚢白内障の患者[症状が増悪することがある]。
7.緑内障の患者[眼圧の亢進により、緑内障が増悪することがある]。
8.高血圧症の患者[電解質代謝作用により、高血圧症が増悪することがある]。
9.電解質異常のある患者[電解質代謝作用により、電解質異常が増悪することがある]。
10.血栓症の患者[血液凝固促進作用により、症状が増悪することがある]。
11.最近行った内臓の手術創のある患者[創傷治癒(組織修復)が障害されることがある]。
12.急性心筋梗塞を起こした患者[心破裂を起こしたとの報告がある]。
13.ウイルス性結膜疾患・ウイルス性角膜疾患、結核性眼疾患、真菌性眼疾患及び急性化膿性眼疾患の患者に対する眼科的投与[免疫機能抑制作用により、症状が増悪することがある]。
(慎重投与)
1.感染症の患者[免疫機能抑制作用により、感染症が増悪する恐れがある]。
2.糖尿病の患者[糖新生作用等により血糖が上昇し、糖尿病が増悪する恐れがある]。
3.骨粗鬆症の患者[蛋白異化作用等により、骨粗鬆症が増悪する恐れがある]。
4.腎不全の患者[薬物の排泄が遅延するため、体内蓄積による副作用が現れる恐れがある]。
5.甲状腺機能低下のある患者[血中半減期が延長するとの報告があり、副作用が現れる恐れがある]。
6.肝硬変の患者[代謝酵素活性の低下等により、副作用が現れやすい]。
7.脂肪肝の患者[脂肪分解・再分布作用により、肝臓への脂肪沈着が増大し、脂肪肝が増悪する恐れがある]。
8.脂肪塞栓症の患者[大量投与により脂肪塞栓症が起こるとの報告があり、症状が増悪する恐れがある]。
9.重症筋無力症の患者[使用当初、一時症状が増悪する恐れがある]。
10.高齢者。
(重要な基本的注意)
1.本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化管潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用が現れることがあるので、本剤の投与にあたっては次の注意が必要である。
1).投与に際しては、特に適応、症状を考慮し、他の治療法によって十分に治療効果が期待できる場合には、本剤を投与しない。また、局所的投与で十分な場合には、局所療法を行う。
2).投与中は副作用の発現に対し、常に十分な配慮と観察を行い、また、患者をストレスから避けるようにし、事故、手術等の場合には増量するなど適切な処置を行う。
3).特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。
(1).本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認する。
(2).水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行う。水痘又は麻疹への感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずる。
(3).水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意する。
4).連用後、投与を急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状が現れることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行う(離脱症状が現れた場合には、直ちに再投与又は増量する)。
5).眼科用に用いる場合には原則として、2週間以上の長期投与は避ける。
2.本剤の投与により、気管支喘息患者の喘息発作を増悪させることがあるので、薬物に過敏な喘息、食物に過敏な喘息、添加物に過敏な喘息患者等には特に注意が必要である。
3.本剤の長期あるいは大量投与中の患者、又は投与中止後6カ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させる恐れがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しない。
(相互作用)
併用注意:
1.バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール)、フェニトイン、リファンピシン[本剤の作用が減弱することが報告されているので、併用する場合には用量に注意する(バルビツール酸誘導体、フェニトイン、リファンピシンはCYPを誘導し、本剤の代謝が促進される)]。
2.サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンダイアルミネート、サザピリン等)[併用時に本剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されているので、併用する場合には用量に注意する(本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する)]。
3.抗凝血剤(ワルファリンカリウム)[抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されているので、併用する場合には用量に注意する(本剤は血液凝固促進作用がある)]。
4.経口糖尿病用剤(ブホルミン塩酸塩、クロルプロパミド、アセトヘキサミド等)、インスリン製剤[経口糖尿病用剤、インスリン製剤の効果を減弱させることが報告されているので、併用する場合には用量に注意する(本剤は肝臓での糖新生を促進し、末梢組織での糖利用を抑制する)]。
5.利尿剤<カリウム保持性利尿剤を除く>(フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド等)[低カリウム血症が現れることがあるので、併用する場合には用量に注意する(本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある)]。
6.活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール等)[高カルシウム尿症、尿路結石が現れることがあるので、併用する場合には、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、また、用量に注意する(機序は不明、本剤は尿細管でのカルシウムの再吸収阻害、骨吸収促進等により、また、活性型ビタミンD3製剤は腸管からのカルシウム吸収促進により尿中へのカルシウムの排泄を増加させる)]。
7.シクロスポリン[他の副腎皮質ホルモン剤の大量投与で、シクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意する(副腎皮質ホルモン剤はシクロスポリンの代謝を抑制する)]。
8.エリスロマイシン[本剤の作用が増強されるとの報告があるので、併用する場合には用量に注意する(本剤の代謝が抑制される)]。
9.非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物)[筋弛緩作用が減弱又は増強するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意する(機序は不明)]。
(高齢者への投与)
高齢者に長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、後嚢白内障、緑内障等の副作用が現れやすいので、慎重に投与する。
(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[動物試験(ラット、マウス、ウサギ、ハムスター)で催奇形作用が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある]。
2.授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせる[母乳中へ移行することがある]。
(小児等への投与)
1.低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児の発育抑制が現れることがあるので、観察を十分に行う。
2.頭蓋内圧亢進症状や高血圧性脳症が現れることがある。
3.低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児では、特に投与部位の組織萎縮<陥没>を起こしやすいので、筋肉内又は皮内注射はなるべく避ける。
(適用上の注意)
1.アンプルカット時:アンプルカット時に異物の混入を避けるため、アンプルの首部の周りをエタノール綿等で清拭しカットする。
2.調製方法:
1).調製液は澄明のもののみを用い、調製後速やかに使用する。
2).通常1~5mLの注射用水又は生理食塩液を、アンプルの内容に加えて溶解し、溶液を調製する。
3.静脈内注射時:静脈内注射により、血管痛、静脈炎を起こすことがあるので、これを予防するため、注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くする。
4.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、次記の点に注意する。
1).筋肉内注射はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行い、筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わない(特に低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には注意する)。
2).筋肉内注射時神経走行部位を避ける。
3).注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
4).筋肉内注射時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
(その他の注意)
1.副腎皮質ホルモン剤を投与中の患者にワクチン(種痘等)を接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
2.プレドニゾロン経口製剤の投与中に、腸管嚢胞様気腫症、縦隔気腫が発現したとの報告がある。