〓「でんわの回(前編)はコチラから 〓
「携帯、見たよ。」と言われた瞬間、僕は、
うおおぉぉい!
と、心の中で、
よくわからないツッコミを入れていました。
どんなメールがあったのかより、
まず先に、
携帯を勝手に見る=プライバシーの侵害
というところに反応したのです。
僕は怒るでもなく、
焦るでもなく、
少し困った感じで彼女に言いました。
「ダメだよ、人の携帯勝手に見ちゃー…」
そうすると、
彼女はこう答えました。
「だって、こないだの様子が変だったから。」
彼女が言うには、
何日か前に一緒にレンタル屋さんへ行った時、
ある映画に対して反応がおかしかったというのです。
確かにそれは帰省した時、
その映画の話を前の彼女から聞いたからでした。
女性の勘、というのは時に恐ろしく鋭敏です。
「…それで?」
僕がそう聞くと、
彼女は手に持った僕の携帯を開き、
1通のメールを見せてきました。
そこには
最後に抱きしめてくれてありがとう、
嬉しかった。
とありました。
「…これって、どういうこと?」
「どういうことも何も、
最後だから、これまでありがとう、
そういう気持ちを込めてだね…」
「何で抱きしめる必要があるの?
意味わかんないよ…」
「いや、だって、
彼女が最後だからって言うから…。
それ以上でも以下でもないよ。
俺はケジメをつけようと思って行ったんだ。
彼女を傷つけないよう、
綺麗に別れたかっただけだよ。」
「そうやって正当化して、
自分が悪者になりたくないだけじゃん!
そんなの、
相手に気を持たせるだけだよ!!」
「つーか、なに、
そんなに俺が信じられないの!?
だいたい勝手に人の携帯見ること自体、
全然信頼してくれてないじゃん!」
「信じるも何も、
抱きしめといて
今さら何言ってんの!?
どうやって
信じろっていうのさ!!!
最後にホテル行ってくれ
って言われたら、
いったいどーしてたのさ!?」
「…。」
「…。」
いつの間にかヒートアップした2人は、
それっきり黙ってしまいました。
僕は自分が良かれと思ってした行動が、
どうしてこう裏目に出てしまうのか、
よくわからなくなっていました。
俺は間違ってるんだろうか…
彼女が携帯を見なければ、
こんなことにならなかったはずなのに…
何で信じてもらえないんだろう…
一方で彼女は、
自分がそれ以上に負い目があることを思い出し、
携帯を勝手に見たことと相まって、
悪いなぁという気持ちでいっぱいになっていました。
この後2人はどうなってしまうのか?
またまた来週に続きます

来週もお楽しみに!
「携帯、見たよ。」と言われた瞬間、僕は、
うおおぉぉい!
と、心の中で、
よくわからないツッコミを入れていました。
どんなメールがあったのかより、
まず先に、
携帯を勝手に見る=プライバシーの侵害
というところに反応したのです。
僕は怒るでもなく、
焦るでもなく、
少し困った感じで彼女に言いました。
「ダメだよ、人の携帯勝手に見ちゃー…」
そうすると、
彼女はこう答えました。
「だって、こないだの様子が変だったから。」
彼女が言うには、
何日か前に一緒にレンタル屋さんへ行った時、
ある映画に対して反応がおかしかったというのです。
確かにそれは帰省した時、
その映画の話を前の彼女から聞いたからでした。
女性の勘、というのは時に恐ろしく鋭敏です。
「…それで?」
僕がそう聞くと、
彼女は手に持った僕の携帯を開き、
1通のメールを見せてきました。
そこには
最後に抱きしめてくれてありがとう、
嬉しかった。
とありました。
「…これって、どういうこと?」
「どういうことも何も、
最後だから、これまでありがとう、
そういう気持ちを込めてだね…」
「何で抱きしめる必要があるの?
意味わかんないよ…」
「いや、だって、
彼女が最後だからって言うから…。
それ以上でも以下でもないよ。
俺はケジメをつけようと思って行ったんだ。
彼女を傷つけないよう、
綺麗に別れたかっただけだよ。」
「そうやって正当化して、
自分が悪者になりたくないだけじゃん!
そんなの、
相手に気を持たせるだけだよ!!」
「つーか、なに、
そんなに俺が信じられないの!?
だいたい勝手に人の携帯見ること自体、
全然信頼してくれてないじゃん!」
「信じるも何も、
抱きしめといて
今さら何言ってんの!?
どうやって
信じろっていうのさ!!!
最後にホテル行ってくれ
って言われたら、
いったいどーしてたのさ!?」
「…。」
「…。」
いつの間にかヒートアップした2人は、
それっきり黙ってしまいました。
僕は自分が良かれと思ってした行動が、
どうしてこう裏目に出てしまうのか、
よくわからなくなっていました。
俺は間違ってるんだろうか…
彼女が携帯を見なければ、
こんなことにならなかったはずなのに…
何で信じてもらえないんだろう…
一方で彼女は、
自分がそれ以上に負い目があることを思い出し、
携帯を勝手に見たことと相まって、
悪いなぁという気持ちでいっぱいになっていました。
この後2人はどうなってしまうのか?
またまた来週に続きます

来週もお楽しみに!

〓【4コマ】2匹ぐらし-その4 はコチラから 〓
その4のタイトルは「でんわ」でした。
今回は「携帯電話」に関する、
僕達2匹のエピソードです。

携帯電話と言えば、
カウンセリングの中でよくこんな話を聞きます。
なんか彼(主人)の行動がおかしいなと思って、
携帯を見てみたんです。
そしたらやっぱり浮気してることがわかって…。
とか
彼(主人)は浮気していないって言うけど、
私どうしても信じられなくて…
携帯を見ちゃったんです。
でも、確かにそんなような形跡はなくて…。
など、いわゆるパートナーの
「携帯を見てしまった」
というお話しです。
不思議と、
男性からまだ聞いたことがないんですが、
女性からは本当によく聞くお話だったりします。
そして
僕もその昔、
数度に渡って彼女に携帯を見られた男の1人でした。
ちょっとうろ覚えなんですが、
たぶん3回くらいあったと思います。
今回はその1回目の時、
付き合って半年ぐらいの頃のお話です。
「はじめましての回」 でお話しした、
2人がヨリを戻してすぐ、の出来事でした。
僕は父親を亡くしているんですが、
父の七回忌で実家に帰省することになったのです。
帰省する時、
ゆうかちんに言えないでいたことが1つありました。
それは、
前の彼女とのケジメをちゃんとつける
ということです。
上京してきた頃の僕は、
当時、遠距離恋愛をしていました。
しかしその彼女とは別れの挨拶もないまま、
自然消滅していたのです。
当時の僕の部屋には、
その彼女がくれたクマのぬいぐるみがいました。
ゆうかちんと僕は、
僕のアパートで暮らすことにしたので、
帰省のついでにそのクマを返して、
ケジメをちゃんとつけよう
そう、思ったんです。
ゆうかちんがせっかく、
少し信用し始めてくれたところだったので、
僕はそれを失うのが怖かったんです。
知って傷つくぐらいなら、
知らなくていいこともあるだろう。
ケジメをつけることが目的なんだ。
当時の自分はなにか、
正しいこと
をしているような感覚がありました。
今思い返してみると、
自分の罪悪感を正当化していた気がします。
そして、無事に七回忌を終え、
東京に戻ってきた時のことです。
僕は社会人としての始まりと、
ゆうかちんと再び一緒に暮らすという、
新しいスタートに胸を膨らませ、
前の彼女との一件を終わったことにしていました。
ところが、
です。
数日後、ゆうかちんは言いました。
「携帯、見たよ。」
携帯にはいったい何があったのか?
来週に続きます。

来週もお楽しみに!
その4のタイトルは「でんわ」でした。
今回は「携帯電話」に関する、
僕達2匹のエピソードです。

携帯電話と言えば、
カウンセリングの中でよくこんな話を聞きます。
なんか彼(主人)の行動がおかしいなと思って、
携帯を見てみたんです。
そしたらやっぱり浮気してることがわかって…。
とか
彼(主人)は浮気していないって言うけど、
私どうしても信じられなくて…
携帯を見ちゃったんです。
でも、確かにそんなような形跡はなくて…。
など、いわゆるパートナーの
「携帯を見てしまった」
というお話しです。
不思議と、
男性からまだ聞いたことがないんですが、
女性からは本当によく聞くお話だったりします。
そして
僕もその昔、
数度に渡って彼女に携帯を見られた男の1人でした。
ちょっとうろ覚えなんですが、
たぶん3回くらいあったと思います。
今回はその1回目の時、
付き合って半年ぐらいの頃のお話です。
「はじめましての回」 でお話しした、
2人がヨリを戻してすぐ、の出来事でした。
僕は父親を亡くしているんですが、
父の七回忌で実家に帰省することになったのです。
帰省する時、
ゆうかちんに言えないでいたことが1つありました。
それは、
前の彼女とのケジメをちゃんとつける
ということです。
上京してきた頃の僕は、
当時、遠距離恋愛をしていました。
しかしその彼女とは別れの挨拶もないまま、
自然消滅していたのです。
当時の僕の部屋には、
その彼女がくれたクマのぬいぐるみがいました。
ゆうかちんと僕は、
僕のアパートで暮らすことにしたので、
帰省のついでにそのクマを返して、
ケジメをちゃんとつけよう
そう、思ったんです。
ゆうかちんがせっかく、
少し信用し始めてくれたところだったので、
僕はそれを失うのが怖かったんです。
知って傷つくぐらいなら、
知らなくていいこともあるだろう。
ケジメをつけることが目的なんだ。
当時の自分はなにか、
正しいこと
をしているような感覚がありました。
今思い返してみると、
自分の罪悪感を正当化していた気がします。
そして、無事に七回忌を終え、
東京に戻ってきた時のことです。
僕は社会人としての始まりと、
ゆうかちんと再び一緒に暮らすという、
新しいスタートに胸を膨らませ、
前の彼女との一件を終わったことにしていました。
ところが、
です。
数日後、ゆうかちんは言いました。
「携帯、見たよ。」
携帯にはいったい何があったのか?
来週に続きます。

来週もお楽しみに!

〓【4コマ】2匹ぐらし-その3 はコチラから 〓
その3のタイトルは「おはよー」でした。
4コマにある通り、
我が家はシングルベッドで2匹が寝ています。

以前に、
ダブルサイズのベッド買おうよ
という話もあったんですが、
これには僕があまり乗り気じゃなくて、
お蔵入りとなりました。
なぜ乗り気じゃなかったのかと言うと…
ベッドが壊れたわけじゃないのに、
もったいない。
とか
部屋のスペースが圧迫されてイヤだ。
とか
ベッド買うくらいなら他のもの買おうよ。
など最もらしい理由を挙げたりしたんですが、
一番の理由は、
だって、寂しいじゃん
だったりします。
寝る時にお互いの距離を感じると、
何だか寂しくないですか?
そうです、僕は実は寂しがり屋さんです。
ところが、
意外と彼女はそうじゃなかったりするんです。
普段は用もなくまとわりついて来たりする、
見たまんまの甘えキャラなんですが、
寝る時にはなぜか、
「大の字になって寝たい」
とか言い出すので、
何だか僕は切なくなります。

来週もお楽しみに!
その3のタイトルは「おはよー」でした。
4コマにある通り、
我が家はシングルベッドで2匹が寝ています。

以前に、
ダブルサイズのベッド買おうよ
という話もあったんですが、
これには僕があまり乗り気じゃなくて、
お蔵入りとなりました。
なぜ乗り気じゃなかったのかと言うと…
ベッドが壊れたわけじゃないのに、
もったいない。
とか
部屋のスペースが圧迫されてイヤだ。
とか
ベッド買うくらいなら他のもの買おうよ。
など最もらしい理由を挙げたりしたんですが、
一番の理由は、
だって、寂しいじゃん
だったりします。
寝る時にお互いの距離を感じると、
何だか寂しくないですか?
そうです、僕は実は寂しがり屋さんです。
ところが、
意外と彼女はそうじゃなかったりするんです。
普段は用もなくまとわりついて来たりする、
見たまんまの甘えキャラなんですが、
寝る時にはなぜか、
「大の字になって寝たい」
とか言い出すので、
何だか僕は切なくなります。

来週もお楽しみに!

〓【4コマ】2匹ぐらし-その2 はコチラから 〓
その2のタイトルは「思い出話」でした。
この頃は本当に記憶力が良かったんですが、
最近は… かなり危ういです。
さてさて、
我らが "ゆうかちん" は今も昔も忘れっぽいです。
忘れっぽいというか、
たぶんあまり覚える気がないし、
思い出す努力もあまりしません。
僕がこれまで、
どんなに悲しい思いをしてきたかというと…
以前に2人で会話した内容を忘れたり、
全く同じ話を嬉々として2、3回されたり。
一緒に観た映画を忘れていたり、
逆に一緒に観たと思いこみ、
観ていない映画の話をされたり。
僕が言ったことを別の人から聞いたと思って、
僕に嬉しそうに話す。
なんてこともちょくちょくありました。
そんな忘れっぽい彼女と一緒にいると、
時には悲しい思いをしたり、
苛立ったりすることもありますが、
なんだか癒されたり、
羨ましく思ったりすることも多いです。
すごく自由だなぁ
そんな風に感じることがあります。
例えば、僕なんかは
「前にこうするって言っちゃったしなぁ」
と、前の発言に縛られてしまうことがあったり、
それがプレッシャーになることも知っているので、
なかなか思うことを言えない場面がありました。
どこか、過去に生きていたりするわけです。
でも、彼女は違います。
現在、感じていることが全てなんです。
前に言ったから、、、
こうしなくてはならない、、、
こうするべきだ、、、
こんな風に、
自分にどんどん責任やルールを課していくと、
人生がずんずんと重くなっていきます。
それはまるで、不安や抑制から身を守るため、
心に重たくて頑丈な鎧を
重ね重ね着ていくような感じです。
「え、そうだっけ?」
「忘れちゃったぁ、えへへ」
「前はそうだったかもしれないけど、
今はこう思うんよ」
ことあるごとにこんな風に言われると、
鎧を着ている方は、
何だかアホらしく思えてきちゃいます。

馬鹿馬鹿しい!
こんな重たい鎧、さっさと脱ごう!
ゆうかちんが見せてくれる、
愛嬌たっぷりの茶目っ気は、
僕を呆れさせつつも救ってくれるのでした。

来週もお楽しみに!
その2のタイトルは「思い出話」でした。
この頃は本当に記憶力が良かったんですが、
最近は… かなり危ういです。
さてさて、
我らが "ゆうかちん" は今も昔も忘れっぽいです。
忘れっぽいというか、
たぶんあまり覚える気がないし、
思い出す努力もあまりしません。
僕がこれまで、
どんなに悲しい思いをしてきたかというと…
以前に2人で会話した内容を忘れたり、
全く同じ話を嬉々として2、3回されたり。
一緒に観た映画を忘れていたり、
逆に一緒に観たと思いこみ、
観ていない映画の話をされたり。
僕が言ったことを別の人から聞いたと思って、
僕に嬉しそうに話す。
なんてこともちょくちょくありました。
そんな忘れっぽい彼女と一緒にいると、
時には悲しい思いをしたり、
苛立ったりすることもありますが、
なんだか癒されたり、
羨ましく思ったりすることも多いです。
すごく自由だなぁ
そんな風に感じることがあります。
例えば、僕なんかは
「前にこうするって言っちゃったしなぁ」
と、前の発言に縛られてしまうことがあったり、
それがプレッシャーになることも知っているので、
なかなか思うことを言えない場面がありました。
どこか、過去に生きていたりするわけです。
でも、彼女は違います。
現在、感じていることが全てなんです。
前に言ったから、、、
こうしなくてはならない、、、
こうするべきだ、、、
こんな風に、
自分にどんどん責任やルールを課していくと、
人生がずんずんと重くなっていきます。
それはまるで、不安や抑制から身を守るため、
心に重たくて頑丈な鎧を
重ね重ね着ていくような感じです。
「え、そうだっけ?」
「忘れちゃったぁ、えへへ」
「前はそうだったかもしれないけど、
今はこう思うんよ」
ことあるごとにこんな風に言われると、
鎧を着ている方は、
何だかアホらしく思えてきちゃいます。

馬鹿馬鹿しい!
こんな重たい鎧、さっさと脱ごう!
ゆうかちんが見せてくれる、
愛嬌たっぷりの茶目っ気は、
僕を呆れさせつつも救ってくれるのでした。

来週もお楽しみに!

〓 「はじめましての回(中編)」はコチラから 〓
メールを出してスッキリしていた僕ですが、
彼女が突然やって来たこと
に対しては、また少し腹を立てました。
なぜならあれは、
「ヨリを戻すメール」
ではないのです。
僕にとっては、
「お別れをするメール」
だったのです。
なので彼女の行動は全くの予想外で、
また自分勝手な行動を!
と、思っていました。
自分のペースを乱された感じがしました。
ただでさえひどい喧嘩別れした後の再会です。
2人とも、イライラしていました。
言葉を発すれば喧嘩っぽくなり、
それがイヤで黙れば、
重苦しい空気が流れました。
どうして2人はこの場にいるのか、
今はいったいどういう時間なのか、
もう、何がなんだかよくわからない状態です。
それでも、
彼女は帰ろうとしませんでした。
そしてそんな状態で数時間が経ったあと、
彼女がこんなことを言ってくれたんです。
「私、決めたの。
もう、信じてもらえないかもしれないけど、
私にとって一番大切なのは、あなたなの。」
その言葉を聞いて、
正直、僕はちょっと呆れました。
だって、同じようなこと、
これまで何度も聞いてきたから。
でも、
なんででしょう…。
すごく、
嬉しかったんです。
僕は、
思わず笑みがこぼれてしまったんです。
あの時の気持ちを思い返すと
あーあ、しょうがないなぁ、もう
という感じです。
そうして、
2人はもう一度付き合うことにしました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ちょうどその頃なんです。
彼女が妙に子供っぽくなっていって、
ゆうかちん
という言葉を使い始めたのは。
それは、
それまでずっと誰のことも信じられず、
心から頼ったり甘えたりすることができず、
1人ぼっちでいた彼女が、
初めて誰かに甘えてみようかと思った時、
「恥ずかしい気持ち」
を隠した言葉だったのかもしれません。
やっと安心できる場所を見つけた
そんな感じだったのかもしれません。
いま振り返って思うのは、
この時やっと2人に
「絆」
ができたんだと思います。
ゆうかちん、じゅやちん
という呼び方は、
一見するとただ甘えた感じの言葉なんですが、
実は2人の絆がそこにあるのでした。

来週もお楽しみに!
メールを出してスッキリしていた僕ですが、
彼女が突然やって来たこと
に対しては、また少し腹を立てました。
なぜならあれは、
「ヨリを戻すメール」
ではないのです。
僕にとっては、
「お別れをするメール」
だったのです。
なので彼女の行動は全くの予想外で、
また自分勝手な行動を!
と、思っていました。
自分のペースを乱された感じがしました。
ただでさえひどい喧嘩別れした後の再会です。
2人とも、イライラしていました。
言葉を発すれば喧嘩っぽくなり、
それがイヤで黙れば、
重苦しい空気が流れました。
どうして2人はこの場にいるのか、
今はいったいどういう時間なのか、
もう、何がなんだかよくわからない状態です。
それでも、
彼女は帰ろうとしませんでした。
そしてそんな状態で数時間が経ったあと、
彼女がこんなことを言ってくれたんです。
「私、決めたの。
もう、信じてもらえないかもしれないけど、
私にとって一番大切なのは、あなたなの。」
その言葉を聞いて、
正直、僕はちょっと呆れました。
だって、同じようなこと、
これまで何度も聞いてきたから。
でも、
なんででしょう…。
すごく、
嬉しかったんです。
僕は、
思わず笑みがこぼれてしまったんです。
あの時の気持ちを思い返すと
あーあ、しょうがないなぁ、もう
という感じです。
そうして、
2人はもう一度付き合うことにしました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ちょうどその頃なんです。
彼女が妙に子供っぽくなっていって、
ゆうかちん
という言葉を使い始めたのは。
それは、
それまでずっと誰のことも信じられず、
心から頼ったり甘えたりすることができず、
1人ぼっちでいた彼女が、
初めて誰かに甘えてみようかと思った時、
「恥ずかしい気持ち」
を隠した言葉だったのかもしれません。
やっと安心できる場所を見つけた
そんな感じだったのかもしれません。
いま振り返って思うのは、
この時やっと2人に
「絆」
ができたんだと思います。
ゆうかちん、じゅやちん
という呼び方は、
一見するとただ甘えた感じの言葉なんですが、
実は2人の絆がそこにあるのでした。

来週もお楽しみに!






