メールを出してスッキリしていた僕ですが、
彼女が突然やって来たこと
に対しては、また少し腹を立てました。
なぜならあれは、
「ヨリを戻すメール」
ではないのです。
僕にとっては、
「お別れをするメール」
だったのです。
なので彼女の行動は全くの予想外で、
また自分勝手な行動を!
と、思っていました。
自分のペースを乱された感じがしました。
ただでさえひどい喧嘩別れした後の再会です。
2人とも、イライラしていました。
言葉を発すれば喧嘩っぽくなり、
それがイヤで黙れば、
重苦しい空気が流れました。
どうして2人はこの場にいるのか、
今はいったいどういう時間なのか、
もう、何がなんだかよくわからない状態です。
それでも、
彼女は帰ろうとしませんでした。
そしてそんな状態で数時間が経ったあと、
彼女がこんなことを言ってくれたんです。
「私、決めたの。
もう、信じてもらえないかもしれないけど、
私にとって一番大切なのは、あなたなの。」
その言葉を聞いて、
正直、僕はちょっと呆れました。
だって、同じようなこと、
これまで何度も聞いてきたから。
でも、
なんででしょう…。
すごく、
嬉しかったんです。
僕は、
思わず笑みがこぼれてしまったんです。
あの時の気持ちを思い返すと
あーあ、しょうがないなぁ、もう
という感じです。
そうして、
2人はもう一度付き合うことにしました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ちょうどその頃なんです。
彼女が妙に子供っぽくなっていって、
ゆうかちん
という言葉を使い始めたのは。
それは、
それまでずっと誰のことも信じられず、
心から頼ったり甘えたりすることができず、
1人ぼっちでいた彼女が、
初めて誰かに甘えてみようかと思った時、
「恥ずかしい気持ち」
を隠した言葉だったのかもしれません。
やっと安心できる場所を見つけた
そんな感じだったのかもしれません。
いま振り返って思うのは、
この時やっと2人に
「絆」
ができたんだと思います。
ゆうかちん、じゅやちん
という呼び方は、
一見するとただ甘えた感じの言葉なんですが、
実は2人の絆がそこにあるのでした。

来週もお楽しみに!
