私はクラシック音楽をよく聴き始めて割と早い時期にブルックナーの交響曲に出会いました。最初に聴いたのが第9番、次に第7番、その後第4番、第3番、第5番とその分厚く巨大な音楽に魅せられていきました。
その頃、本などでブルックナーの話題を探すと、マーラーと並べて取り上げられることが多かった気がします。そんなこんなでマーラーの音楽も聴いてみたいと思ったのです。
最初に聴いたのは交響曲第1番だったか第4番だったか、どうもよく思い出せません。(それに誰の演奏だったかも忘れてしまっています。) 聞いた感想は…。ブルックナーと並べて取り上げられることの多い作曲家なのに、その違い音楽の印象の違いの大きさに驚いたのです。似ているのは曲の長さだけ、と言っても過言では無いのでは無いか。そう思ったのです。巨大で無骨な音の固まりを組み上げて創られたようなブルックナーの音楽。一つ一つは小さく細やかな歌を並べ積み重ねその結果として厚い音響、長大な音楽に仕上げられたマーラーの音楽。ブルックナーの音のスケール感に魅了されていたその頃の私にとって、マーラーはなかなか心の奥まで届いてこない音楽でした。(マーラーの音楽の細かい単位、と言うか一つ一つの歌もどうもピンとこないものが多かった気もします。) 以来、私はマーラーが苦手です、と言い続けてきたのでした。最近でこそ、マーラーの交響曲も結構聴いていますし、魅力を感じることも多くなっていますが、少なくとも10年くらい前まで、私にとってマーラーは(食わず嫌いの部分もありますが)苦手な作曲家の代表のような物でした。
等と書き始めたのは…
今日久し振りにワルターの指揮した「巨人」を聴いて、その美しさに驚いたから、です。ワルターのマーラー演奏は苦手のマーラーの中でも比較的良く聴き、これまでも第9番や大地の歌、そしてこの「巨人」等は好きな演奏だったのですが、それにしても今日何気なく聴き始めたこの「巨人」の最初から思わずぐっと惹き込まれてしまったのです。
まるで今そこに生まれてきたばかり、のような新鮮な音。そこから流れるしなやかな歌。次々と違う楽器違う音色で沸き上がっていく瑞々しい音楽。テンポの微妙な揺れがそれらの旋律をとても自然に活き活きと再現していくのです。この録音時80代の半ばにさしかかっていたワルターはこれらの旋律を一つ一つ本当に大切に優しい手つきで拾い上げていきます。そしてそうした気持ちはこの決して短くはない交響曲の最初から最後までまったく切れることなく続くのです。緊張感が途切れることのない優しい音楽。ワルターの慈愛に満ちた微笑みが音の一つ一つからこぼれてくるようです。
ワルターはとても好きな指揮者の一人でしたが、またその思いを強くすることになりました。
ブルーノ・ワルターはマーラーの愛弟子であり、その解釈はまさしく作曲家直伝。ワルター最晩年に録音された「巨人」は、永遠のスタンダードとしてこれまでも愛聴されてきたものです。この録音の後も、バーンスタインをはじめ多くの指揮者がこの曲を録音し、その中には斬新な解釈で人々をうならせたもの、豊穣な響きと歌で酔わせたものなど、さまざまなものがありますが、それにしてもこのワルターの「巨人」は、永遠に色あせないエヴァーグリーンな1枚となっていることは万人の認めるところでしょう。「巨人」はワルターにはじまり、ワルターに還る…誰もが一度は耳にすべき銘盤の筆頭です。カップリングは「巨人」と同じ主題を使った歌曲「さすらう若人の歌」です。
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7か月かけた数々の発明により困窮する領地を救ったベルシュマン男爵家の兄弟コンビ。ようやく安定した長閑な生活を満喫する一家のもとに、王都の父から手紙が届いた。内容は建国記念祭を見に王都へ来ないかという誘いだった。ウォルフとルートルフは家族と伴に王都へ行くことを決める。
しかし数日後、王都への道中、ルートルフは妹のミリッツァと一緒に謎の男たちに攫われてしまう。護衛の助けが間に合わない絶体絶命の状況に、ルートルフは勇気を振り絞り……!?
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ルートルフ・ベルシュマンは生後6か月で突然大人並みの意識に目覚め、別世界の『記憶』に何かを告げられるのを感じる。焦らず周りの状況認識と言語習得から始めると、間もなく自分が男爵家の次男であり、領地が困窮していることを知る。領民たちが冬を越せないほどの深刻さに、自分が大人になるまでじっとしていられないと感じたルートルフは、兄のウォルフに自身の正体を明かし、ふたりで領地救済に乗り出そうと決意する。
「ぼく、のこと、ひみちゅ」
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貧乏男爵家次男のルートルフは、別世界の『記憶』を持った頭脳派0歳児。やがて困窮する領民の状況を知った彼は、兄のウォルフにだけ自身の正体を明かして、領地救済に乗り出していく。ふたりは黒パンやコロッケなどを次々と発明し、おかげで領地は危機を脱しつつあった。
そんなある満月の夜、ルートルフとウォルフはオオカミのザムの背に乗せられて、隣のディミタル男爵領へ連れていかれる。森の中に着いたふたりが見たのは、柵に捕われたザムの仲間たちだった! 領地困窮の大きな原因となった害獣大繁殖のカラクリを知ったふたりは、オオカミ解放作戦を開始するが……。
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刑事の鈴木は、目覚めるとロボット掃除機になっていた! しかも眼前には男の死体が……。『地べたを旅立つ』改題。解説/辻真先