昨日に続き仏蘭西とドイツの狭間で「忘れられた作曲家」ルイ・テオドール・グヴィの作品、今日は交響曲を聴きました。記事冒頭に掲載したのは1892年に発表された交響曲第6番、ジャック・メルシエ指揮ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団による「ルイ・テオドール・グヴィ:交響曲全集」に収録されている音源です。
一聴して感じたのは、昨日の記事にスターバト・マーテルの感想として書いた「シンプルで引き締まった構成感、時に快活に流れ、時にとても美しいメロディ、そして全体を通して感じられる静謐な祈り。決してスケールの大きな音楽では無いと思いますが、しかしとても気持ちの良い音楽です。」と言う文言をそのまま使って良いのではないか、と言うことでした。音楽のスタイル的にはドイツ・ロマン派の影響が強いのでしょう。しっかりとした構成感の有る音楽です。しかし、リズムや音の響きには…、いやこれは作曲家の個性なのか、それともフランス人で仏蘭西音楽を得意としているジャック・メルシエの個性なのか、それはなんとも言えない時思いますが、とても明快で少し小粋な感じもある節回し、本当に気持ちの良い音楽という感じがしたのでした。
この曲が書かれたのは、ブラームスの交響曲第4番やブルックナーの交響曲第8番の少し後、そしてこの翌年にはドヴォルザークの「新世界より」やチャイコフスキーの「悲愴」が登場するというクラシック音楽界にとっては「群雄割拠」(笑)の時代ですね。これはちょっとくらい良い曲でも忘れられて仕方ない?、とも言えそうな気もしますが、それでもやはりこの作曲家はもう少し評価されてもいい気はします。同じCDに収録されていた「シンフォニエッタ ニ長調 Op.80」もまたとても良い曲でした。
フランスとドイツの境界地域ゴフォンテーヌ(現在はドイツ領ザールブリュッケン)で生まれたため、フランス市民権を得ることができず、パリ音楽院に入学できなかったというグヴィ(1819-1898)。この国境問題は、進学だけでなく、その後の彼の人生にも大きな影響を与え、結局のところ彼の作品は、ドイツでもフランスでも高い評価を得ることができず、そのまま忘れ去られてしまった悲劇の作曲家です。彼の作品が再び世に出たのは、実に1994年のこと。その素晴らしい「レクイエム」がきっかけとなり、少しずつ録音、演奏機会も増えてきたのは喜ばしい限りです。そんなグヴィ、この交響曲全集はファンにとっても嬉しい1セットとなるでしょう。フランス音楽の権威でもある指揮者メルシエは、これらの交響曲に新たな光を当て、その雄弁な響きを存分に引き出しています。ベルリオーズともシューマンとも違う斬新な音楽をお聞きください。
《CD1…777381》1.交響曲 第1番 変ホ長調 Op.9/2.交響曲 第2番 ヘ長調 Op.12/《CD2…777379》1.交響曲 第3番 ニ長調 Op.20/2.交響曲 第5番 変ロ長調 Op.30/《CD3…777382》1.交響曲 第4番 ニ短調 Op.25/2.幻想的交響曲/3.シンフォニー・ブレーヴェ ト短調 Op.58/《CD4…777380》1.交響曲 第6番 ト短調 Op.87/2.シンフォニエッタ ニ長調 Op.80
演奏: ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団/ジャック・メルシエ(指揮)
Theodore Gonuvy Symphony No.6 Sinfonietta op. 80
200 を超える曲を作曲し、存命中にあのベルリオーズが擁護したにも関わらず、その評価は高まることのなかった作曲家テオドール・グヴィ。
ドイツとフランスの領土争いに巻き込まれ、どちらの国からも忘れられてしまった彼の作品がこうして聴けるのは嬉しいことです。もともと交響曲として構想されたシンフォニエッタはブラームスの第2 交響曲を思わせるのどかで古典的な牧歌で始まります。
第6番の交響曲は祝祭的な雰囲気を湛えた賑やかなメロディで始まり、中世の騎士たちの戦いを描写し、最後は荘厳なフーガで締めくくるという表現的な曲です。
合唱指揮者として名をあげたメルシエが指揮する彼の故郷のオーケストラの演奏でお楽しみください。
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