カラヤンのマーラー交響曲第9番というと、1982年にライヴ録音されたCDが有名です。私も今は手放してしまったのですが、そのCDが発売されてすぐに購入し良く聴いたCDでした。
しかし、そう言えば…。カラヤンがマーラーの交響曲第9番を初めて録音したのはその数年前だったはず。そちらはスタジオ録音だと思うのですが、どちらかと言えばあまり話題に上っていないような気がします。
たしか、直前にバーンスタインが初めてベルリン・フィルの指揮台に上ったコンサートがありそのプログラムがマーラーの交響曲第9番。そのライヴ録音が大きな話題になったのと比較してもカラヤンが時間をかけて準備した録音はあまり話題になることが無いような気がします。(リハーサルの時、バーンスタインのことを話題にしたというようなエピソードは色々あったりしますが。)
今までそんなことはまったく気にしていなかったのですが、昨日小澤征爾さんのドキュメンタリーを見ていたら、途中で小澤さんがカラヤンが70歳を過ぎてから初めてマーラーの交響曲第9番勉強し始めた、と言うような話をしていたのです。
カラヤンが、セイジ、これが本当に良い曲なんだ、ととても楽しげに話す様子を小澤さんは語ります。たぶん50代や60代の時のカラヤン先生とその時では感じ方も表現の仕方も大きく違っていたはず、と小澤さんは言います。その年代その年代で感じるものも変わってくるし感動するもの、その質も変わってくるでしょう。それによって表現も違ってくる筈。だから一生勉強することが大事なのだ、と。
そんな話を聴いているうちに、カラヤンがマーラーの交響曲第9番を初めて録音した演奏を聴きたいと思いました。
演奏はカラヤン/ベルリン・フィルらしい最高に磨き上げられた美しい響きと見事なアンサンブル。スタジオ録音らしく隅々までしっかりと創り上げた演奏なのですが、同時に、むしろ2年後のライヴ以上にカラヤンの思い入れや意気込みが込められているように感じるのは、先の小澤さんの動画を観た後の先入観があるのでしょうか。1982年のライヴはもちろん良い演奏ですが、こちらのディスクも同じくらいに存在意義がある演奏だと思いました。やはりカラヤンも凄い演奏家、です。
こちらは1982年録音のライヴ盤です。
こちらはバーンスタイン/ベルリン・フィルのただ一度の顔合わせだった演奏の記録。
カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるマーラーの交響曲に、メゾ・ソプラノ歌手、クリスタ・ルートヴィヒの歌唱による「亡き子をしのぶ歌」「リュッケルトの詩による5つの歌曲」をカップリングした、`73~`80年録音盤
第22回レコード・アカデミー賞交響曲部門賞を受賞したアルバムで、、カラヤンが本領を発揮し他の追随を許さぬ実力を見せつけた名録音として知られています。くまなく発揮されたベルリン・フィルの超絶技巧、ライヴでありながら完璧な演奏、この傑作の持つマーラーの特徴が一体となった名盤中の名盤といえるでしょう。
一期一会。世界をまたにかけて活躍したバーンスタインがベルリン・フィルを指揮したのは本盤に収録された1979年10月のマーラー第9交響曲のみ。当時の楽壇でカラヤンと双璧をなしたバーンスタインの指揮でベルリン・フィルが熱く燃えた伝説のライヴとして名高い放送録音が、彼の没後にCD化されたものです。細かな綻びがあるものの、その尋常ではない凄みのある演奏は圧倒的な支持を受けています。
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