ヴァント/北ドイツ放送交響楽団東京公演 ブルックナー9番とシューベルト「未完成」 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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今日は本当に久し振りにBOOK OFFに足を向けました。

 

ここ数日北海道とは思えないほど暑い日が続き、ほとんどグロッキー状態。きょうも午前中は日差しがかなりきつくぐったりしていたのですが、昼頃から雷が鳴り続け午後になると強い雨が降り始めました。雨のおかげで少しだけ涼しさも感じられるようになり……。(まあ、雨ですから、うっとうしさは変わらないにしても、です。)

 

少し小降りになったところで気分転換に外出。今年の春から夏にかけて気分転換、と言うといつの間にやらホームセンターの園芸コーナーに向かっていたのですが、今日はやっぱりBOOK OFF、かな。(どっちにしても芸が無いね(笑))

 

で今日の戦利品は二枚のCDと数冊の文庫本。文庫本はまあ別にして……。

思わず手に取ってしまったのがヴァント/北ドイツ放送交響楽団の東京公演ライヴ。もう一枚はマリナーとシェリングのバッハ ヴァイオリン協奏曲。

 

帰ってから早速ヴァントの「未完成」とブルックナー交響曲第9番を聴きました。

 

私のギュンター・ヴァントと言う指揮者のイメージは一連のベルリン・フィルとのライヴ録音で作られたものが大きいと思います。

特に一番最初に聴いたブルックナー交響曲第9番のイメージは強烈でした。

ぱっと聴いた最初の感想は、それまで聴いた度の演奏より緻密で精確に作られたブルックナーだと思いました。テンポの設定も見事。音の凄みもさすがはベルリン・フィル。これは理想のブルックナー第9番では無いか?

しかし、同時に聴き終わってすぐに朝比奈やシューリヒト、クナッパーツブッシュの演奏を切実に聴きたくなったのでした。いや、こんなに隅々まで緊張感に満ちた音楽をブルックナーは望んでいたのだろうか。なんだか、全く理に合わない反発のようなものを感じたのは間違いありません。

 

あれからもう随分時間がたち、その後ヴァントの演奏を色々聴く事でヴァントらしさ、ヴァントの魅力が受け入れられるようになりあの時の反発のようなものも笑えるようにはなったのですが、やはり今でもあの演奏には独特の凄みと反面でちょっとした余裕のなさというか厳しすぎるような表情を感じるのも間違いありません。

 

そんなことを思い出しながら今日聴いた演奏は……。

 

「未完成」のヴァントにしては少しゆったり目かなと感じさせるテンポ設定からの情感、溢れるような郷愁のようなもの。

 

そして、ブルックナーでのオーケストラの地の底から湧き上がるような深い響き。テンポの細かい動きなどベルリン・フィルとの演奏より遙かに自然で柔らかく温かいものが感じられます。演奏の完璧さ(本当に完璧かどうかは私は知りませんが)ならベルリン・フィルが上でしょう。しかしここで繰り広げられているのは信頼感に溢れた指揮者とオーケストラが創り出す音楽、でした。

 

やはりこれが今日の最大の戦利品、だと思います。

 

こちらが「未完成」の音源です。

 

 

ライヴ・イン・ジャパン2000

2000年11月、「最後の巨匠」ヴァントの10年ぶりの来日が北ドイツ放送響とのコンビで実現。各媒体から2000年のベストコンサートとして絶賛された公演のライヴ盤である。シューベルトの『未完成』、ブルックナーの『第9番』という未完成作品同士のカップリングという選曲の妙もさることながら、88歳という年齢にもかかわらず1日、この重厚な2曲を振るという、まさに入魂の集中力にまず驚かされる。
『未完成』においてヴァントは、格調高い緊張感を保ちつつ聴く者の魂に直接語りかけてくる、かつてない名演を生みだした。また、18番であるブルックナーにおいては、さらに恐るべき演奏の緊張感と作品のもつ深淵性が高度な次元で止揚された結果、そのエネルギーはあたかも宇宙の始源、ビッグバンを顕現させたかと思えるほどの高まりを見せた。作曲者が垣間見た神の領域へとわれわれをいざなう、至高の音塊で満たされている。
また同時に発売されたDVDも、終始立って振り通し、神々しささえ漂わす巨匠の姿が収録されており、こちらも見逃せない。

 

 

 

ライヴ・イン・ジャパン2000 [DVD]

巨匠時代というものはもはやただ懐かしめばいいもの(=ちょっとout of date)というのが、とおり一辺倒の誤解にすぎないことをはっきりとわからせてくれる内容。20世紀の最後に行なわれた来日公演の二大演目を収めたこのDVDが、80歳を超えてなお弛緩の一端をも感じさせず、かえって新鮮な瑞々しささえ伝えるヴァントの音楽を存分に取り込んだモノであることは本当に幸せだ。とくにひとつのスタンダードとしてのブルックナー……、マルチアングルによって瞬時に指揮者のアップを観察できるDVDの恩恵にも感謝したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ルートルフ・ベルシュマンは生後6か月で突然大人並みの意識に目覚め、別世界の『記憶』に何かを告げられるのを感じる。焦らず周りの状況認識と言語習得から始めると、間もなく自分が男爵家の次男であり、領地が困窮していることを知る。領民たちが冬を越せないほどの深刻さに、自分が大人になるまでじっとしていられないと感じたルートルフは、兄のウォルフに自身の正体を明かし、ふたりで領地救済に乗り出そうと決意する。
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