ジョスカン・デ・プレ ミサ曲全集第4集 ヴォーカル・アンサンブル カペラとタリス・スコラーズ  | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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ヴォーカル・アンサンブル カペラによるジョスカン・デ・プレ ミサ曲全集の第4集は「運命のミサ」というサブタイトルがつけられ、ミサ『フォルトゥーナ・デスペラータ』(Missa Fortuna Desperata)、ミサ『不幸が私を襲い』(Missa Malheur Me Bat)の2曲が収録されています。

 

ジョスカン・デ・プレ (ca.1450/55-1521):
ミサ《フォルトゥーナ・デスペラータ》
ミサ《不幸が私を襲い》
ヴォーカル・アンサンブル カペラ
音楽監督:花井哲郎

録音時期:2011年4月10-13,15日
録音場所:東京、淀橋教会、小原記念聖堂
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 

作曲された年代はよく分かりませんが、タリス・スコラーズの同じ曲の解説に「枢機卿アスカニオ・スフォルツァのために作曲されたという説がある2曲。」という記載があります。ジョスカンのWikipediaのページを見ますと彼が枢機卿アスカニオ・スフォルツァに仕えていたのは1483年から1485年にかけて、のようですので、これらの曲の作曲年代もだいたいそのあたりなのでしょうか。

「1484年6月19日の時点でジョスカンは、権勢のあった枢機卿 アスカニオ・スフォルツァ(Ascagnio Sforza, 1455年 - 1505年)の庇護を受けていたことが確認されている。ジョスカンは、自分の教会禄付きの役職に就いて、勤務地居住義務及び僧職就任義務を免除してもらえないか、教皇庁宛の請願をサントーバン(Saint-Aubin)教会に提出したが、その際にアスカニオ・スフォルツァの“capellanus et familiaris continuus commensualis”(常に陪食に與る友人にして礼拝堂付司祭)と自称しているのである(ジョスカンは管財人に任命されていたから、ルイ11世治世下の高等法院の高級官僚だった)。1484年8月、アスカニオ・スフォルツァはローマに移り住んだ。ジョスカンはこれに同行したらしい。しかし、すでに1485年にはジョスカンは、アスカニオ・スフォルツァのもとを離れる準備をしていた。ジョスカンは、ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・スフォルツァ(Gian Galeazzo Sforza, 1469年 - 1494年)の下での地位を見つけたらしい。少なくとも1489年2月の或る文書は、ジョスカンを「公爵の声楽家」と呼んでいる。」(Wikipedia ジョスカン・デ・プレ より )

「Ascanio Maria Sforza Viscontiは、カトリック教会のイタリアの枢機卿でした。ロドリゴボルジアの教皇アレクサンデル6世としての選挙で主要な役割を果たした熟練した外交官として一般に知られているスフォルツァは、1492年から1505年まで聖ローマ教会の副首相を務めました。」(Wikipedia(英語) Ascanio Maria Sforza Viscont より(自動翻訳) )

 

そうしてみるとジョスカンの作品の中ではかなり若い頃の作品、と言えると思いますが豊かな楽想と練達した対位法で紡ぎ出していく音楽は時代の空気をリアルに感じさせてくれます。ヴォーカル・アンサンブル カペラの温もりのある響きもとても魅力的です。

 

タリス・スコラースによるジョスカン・デ・プレ ミサ曲全集の4巻目も全く同じ曲目でした。(CDに収録されだ順番は逆ですが(笑)) こちらも素晴らしい演奏です。ヴォーカル・アンサンブル カペラとの味わいの違いを比べるのも面白いかも知れませんね。

 

 

 

 

ジョスカン・デ・プレ: ミサ曲全集 第4集

むごい運命を嘆く、悲痛にしてあまりに美しい世俗歌曲を基にしたミサ曲を2曲収録。ミサは人間的な感情を霊的な意味合いに昇華する。歌曲を作品に組み込む過程で、ジョスカンの手によって嘆きは慰めへ、運命の克服へと変わっていくかのようだ。ヴォーカル・アンサンブル カペラはこの巨匠の音楽に取り組んで15年を迎える。その円熟の響きをじっくり味わえる1枚。

 

 

 

Missa Malheur Me Bat

「無名のミサ&フーガによるミサ」に続いてリリースされるタリス・スコラーズのジョスカンのミサ曲全集第4弾は、枢機卿アスカニオ・スフォルツァのために作曲されたという説を持つミサ曲『不幸が私を襲い』、ミサ曲『絶望的な運命の女神』の2作品。
 ミサ曲『不幸が私を襲い』は、オケゲムやマルティーニの作品とも伝えられている3声の世俗歌曲『不幸が私を襲い』に基づいた通作ミサ曲であり、ミサ曲『絶望的な運命の女神』ではビュノワの作と言われる3声の世俗歌曲『絶望的な運命の女神』が用いられています。
 独特の書法と多様な工夫が散りばめられたジョスカンのミサ曲の真の姿を、タリス・スコラーズの完璧なハーモニーが鮮明に浮かび上がらせます。

ジョスカン・デ・プレ
・ミサ曲『不幸が私を襲い』(ミサ・マルール・ム・バ)
・ミサ曲『絶望的な運命の女神』(ミサ・フォルトゥーナ・デスペラータ)
 タリス・スコラーズ
 ピーター・フィリップス(指揮)