カラヤン/ウイーン・フィル ブルックナー交響曲第8番(ハース版)カラヤン晩年の・・・ | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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ブルックナーの8番を聴こうか。

 

朝比奈? ヴァント? ネルソンスのやつも中々良かった。それとも・・・

以前はどちらかというと苦手だったこの曲も、今では大好きな曲のひとつになっています。ライヴラリを見るとすぐに聴ける音源が30種類ほどあるようです。さて、どれにしようか。

 

などと考えている内に、カラヤンがウイーン・フィルを指揮した録音を暫く聴いていないことを思い出しました。

あれも、ともかく美しい演奏だった記憶があるけど・・・。

 

と言うわけで今日はカラヤン指揮ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナー交響曲第8番を聴くことにしました。

カラヤンが亡くなる前年、1988年11月のセッション録音です。

 

ウイーン・フィルの柔らかな音。カラヤンのゆったりと構え自然に流れる造形。「武骨」でどこか「不器用」、といったブルックナーのイメージとは全く対極にあるような音楽かも知れません。しかし、この美しさの前に他に言葉は必要ないような気もします。

 

先に、「亡くなる前年」と書きましたしこれらの演奏を指して「カラヤン晩年の」と言った表現がされる事が多いのですが、たぶんカラヤン自身は翌年に世を去ることなど考えていなかったのでは無いかと思いますし、けっして年老いて衰えの見えた演奏などではありません。むしろカラヤンの長い演奏家としての人生の中で年代によって変化を遂げてきたと同じように、ここから新たな例えば「90年代のカラヤン」が始まる前兆だったのかも知れない、そんな気もします。ともかく、ゆったりとしてスケールが大きく美しさに満ちた音楽。ただ浸っていることがとても幸せだと感じさせられる特別な空間がここにありました。

 

これを聴いているうちにブルックナーの8番を続けて聴きたくなってしまいました。

しかし、時間がいくらあっても足りそうにありませんね(笑)

 

 

ブルックナー:交響曲第8番

ブルックナーの8番を得意とし、若い頃から演奏してきたカラヤンの指揮は相変わらず見事なものですが、ここではオケがウィーン・フィル、ホールがムジークフェラインザール、録音条件がセッションということもあり、雄大なフォルムと美麗な歌いまわし、そして壮絶な盛り上げといういつものカラヤン手法に加え、オケの濃密な個性を反映した独特の複雑な味わいが備わり、さらに最晩年のカラヤンならではの達観したかのような自然体志向が、演奏全体を独特の雰囲気でまとめるあげることに繋がっています。