シューベルト ミサ曲 第2番 18歳の若きシューベルトの瑞々しい感性と敬虔な祈り | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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シューベルト ミサ曲 第2番 ト長調 D.167  Schubert Mass No. 2 in G Major
ウォルフガング・サヴァリッシュ Wolfgang Sawallisch
バイエルン放送合唱団 - Bavarian Radio Chorus
バイエルン放送交響楽団 - Bavarian Radio Symphony Orchestra
S:ルチア・ポップ - Lucia Popp 
T:アドルフ・ダッラポッツァ - Adolf Dallapozza 
Br:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ - Dietrich Fischer-Dieskau

 

「ミサ曲第2番 ト長調 D167 は、フランツ・シューベルトが1815年3月はじめに作曲したミサ曲。1週間もかからずに書き上げられた本作は3曲の小ミサ曲、ミサ・ブレヴィスのうち最も広く知られている。ソプラノのためのパッセージ群を別にすると差し挟まれる独唱は控えめで、ここでのシューベルトは性格として祈祷的な雰囲気に傾きがちである。前年には作曲者の教区でミサ曲第1番が披露されて成功を収めていた。1815年の3月2日から7日にかけて書かれ、シューベルト一家が通うリヒテンタールの教区教会での演奏を念頭に置いての作曲だったと思われる。しかし、楽譜はシューベルトの死後数年経った1845年まで出版されず、その時まで作曲者の知られない楽曲のひとつだった。あまりに無名なため、初版はプラハの聖ヴィート大聖堂で音楽監督を務めたロベルト・フューラーが自作と偽って発表していたほどであった。フューラーは最終的に横領の罪で収監されている。時とともにやがて真の作曲者が明らかにされ、現在では人気を獲得している。」(Wikipedia ミサ曲第2番 (シューベルト) より)

シューベルトは生涯に完成された礼拝のための音楽として6曲のミサ曲と「ドイツ・ミサ」(ドイツ語による賛美歌集)を残しています。掲載したミサ曲第2番 D.167 が作曲された前年の9月(ですから2番のわずか半年前ですね!)に第1番が公開され大成功を収めていたそうです。その時にはシューベルトの師でもあったアントニオ・サリエリ(映画「アマデウス」で悪名(?)ばかり高くなってしまった、あの宮廷作曲家サリエリです。彼はベートーヴェンやシューベルトの先生でもありました。)はシューベルトを抱擁し「君は私にもっと多くの名誉をもたらしてくれるだろう」と言ったのだとか。

第2番はミサ・ブレヴィスのスタイルで書かれたミサ曲でシンプルな編成の音楽ですが、歌の人シューベルトの曲らしく親しみやすく美しい旋律が随所にちりばめられています。

18歳になったばかりのシューベルトの瑞々しい感性と敬虔な祈りをサヴァリッシュとバイエルン放送合唱団は丁寧に拾い上げてくれます。そしてソプラノのルチア・ポップ。その伸びやかで真摯な声に、思わず背筋が伸びるような気になりました。ディースカウの柔らかで品格を感じる歌も素晴らしく、何気なく聴き始めたこの録音を私は何度も何度も聞き直すことになりました。

第1番も素晴らしい演奏でしたし、ドイツ・ミサ D872も気に入りました。これからサヴァリッシュのシューベルト ミサ曲全集をじっくり聞き込んでいこうと思います。

 

 

 

 

こちらはドイツ・ミサも含んだミサ曲全集全曲が入った動画です。

 

 

 

Das Geistliche & Weltliche Chorwerk

シューベルト:宗教的、世俗的合唱作品集

シューベルト演奏に力を注ぎ、マイナーな作品の紹介にも熱心に取り組んできたサヴァリッシュならではの完成度高い内容。シューベルトのミサ曲は、親しみやすい美しさにあふれたものが多く、ときに感傷的な旋律も交えながら、平明さの中にもときおり独自の奥深さをのぞかせる音楽が印象的。作曲された時代は古典派とロマン派の端境期で、志向していた音楽はロマン派的、しかし技法的には古典派的というシューベルト独特の立ち位置を、サヴァリッシュはあくまでも楽譜に即した形で甘美さに溺れることなく入念に表現、結果としてシューベルトの音楽の多様性が際立つことにもなり、情報量の多さが作品の包含する可能性についても考えさせてくれるのが印象的です。
世俗合唱曲(と重唱曲)もシューベルトならではの旋律美に恵まれており、酒や恋、自然や戦いについての率直な心情が歌い上げられた作風が魅力的です。サヴァリッシュはここで、小編成の合唱団であるカペラ・バヴァリアのほか、ミュンヘン拠点に活躍する気の合う歌手たちを起用し、親密な世界をつくりあげています。