「本好きの下剋上」に刺激されて生まれた2つの傑作「赤ん坊の起死回生」と「地べたを旅立つ」 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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もう2年くらい前、弟(そえだ信)から「本好きの下剋上」がとても面白い、一度読んでみたら、と言われたことがあります。

ライトノヴェルだけど文章も構成もしっかりしているし何より面白い小説。

細部は忘れましたが感想を色々聞かせてくれました。

 

私もその言葉に刺激されて読み始めました。確かに面白い。

設定も面白いですし、細かな描写もなかなかです。主人公がこれからどう成長していくのか、読んでいていつの間にやら引き込まれるような気持ちになる小説でした。1巻2巻とあっという間に読み進めてしまいました。

 

ただ、その頃は他に読みたい本も山積み状態で、結局そのあたりで中断。続きを読みたいと思いつつ時間が過ぎてしまいました。

 

昨年、「地べたを旅立つ」をアガサ・クリスティー賞に送る前の段階で読ませた貰った時、その最初の部分で思わずにやりとしてしまいました。よく、カフカの、「変身」のパロディ、と言われますが、それはもちろんなのですがこの設定は「本好きの下剋上」のパロディでもあると思います。「本好きの~」では、事故に遭った主人公が気付くと異世界で幼女に転生していたというのが物語の始まりでした。大人と同じには動けない幼女の身体に転生してしまった主人公がその不自由さをどう解消していくかも一つの読みどころになっていると思います。「地べたを旅立つ」では、幼女どころか「ロボット掃除機」(笑) 無機物に転生してしまったのですからもう「不自由さをどう解消」どころでは無く・・・(笑) 作者はかなり楽しみながら書いたに違いありません。

 

アガサ・クリスティー賞の結果が出る少し前、昨年の夏頃、弟(そえだ信)と電話で話していた時「「小説家になろう」と言うサイトに連載の形で小説を書いてみている。」と知らされました。(「地べたを旅立つ」の批評やレビューでこの作者はライトノヴェルやWeb小説を多く手がけているのでは無いか、というような感じのことか何件か書かれていましたが、Web小説を書いているのは事実、ただし書き始めたばかりでけっしてそれに慣れた作家というわけではありません。)

 

それが「赤ん坊の起死回生」です。(これは現在も連載中。第2部まで完結したようです。)

 

小説家になろう

 

 

この小説も最初の部分で思わずにやりとしました。

この作品の冒頭はこんな風に始まります。

「――吾輩は赤ん坊である。

  名前は……あるのかもしれないが、まだ分からない。

 

 何となくいきなり、そんな言葉の連なりが頭を横切っていた。」

 

これはカフカでは無く夏目漱石の「吾輩は猫である」のパロディ。そして設定自体はこれもまた「本好きの下剋上」のパロディと言えると思います。(あくまで冒頭の設定が、です。物語は全く違う形で進んでいきます。)

 

実は、「地べたを旅立つ」のクライマックス(の少し後、と言うべきか)、「吾輩は猫である」のラストシーンのパロディが登場しています。

 

どうやら、この「赤ん坊の起死回生」と「地べたを旅立つ」、全く似ても似つかぬほど違う物語なのですが、作者の中では双生児的な作品なのでは無いかと言う気がします。すくなくとも最初の発想の段階は同じようなモチーフから発展したのでは無いか、と。

 

「赤ん坊の起死回生」は今日(2021年2月14日)現在第2部まで完結しています。(130話(登場人物の紹介を含む)。原稿用紙にすると1000枚近くになる様です。まだ全編の完結にはなりそうもありませんから、けっこうな大長編になりそうですね。)

 

一回一回はあまり長くありませんので調子よく読める小説ですし、ともかく面白い。ファンタジーで冒険物、架空の歴史物の趣もあったりミステリっぽい仕掛けがあったり(意外に社会派だったり(笑))、わくわくしますし、なにより「かわいい」(笑) 現在完成している部分だけでも私は傑作だと思います。

 

タイプの違う話ではありますが、「地べたを旅立つ」を面白いと思った方なら、絶対に楽しめる小説。これは絶対にお勧めです。

 

 

 

こちらは「本好きの下剋上」のTVアニメ版PVです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姪を守るため、札幌から小樽、夜の国道5号線を爆走します!!!(掃除機だけど(笑))

 

第10回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作

 

掃除じゃない、捜査だ!

 

選考委員全員驚愕! 前代未聞の掃除機ミステリ! !

 

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険

札幌方面西警察署刑事課勤務の勢太は小樽市で交通事故に遭い、目覚めると――ロボット掃除機となっていた……こんな姿になっても義父からDVを受けて勢太が保護していた姪を、護らなければいけない! 卓抜な着想で選考委員たちを驚嘆させた掃除機ミステリ

 

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険 -Reader Store

 

 

 

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