ベートーヴェン交響曲第9番 ヴンダーリッヒ、日本人ソプラノ、黒人指揮者 素晴らしい演奏 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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今日はこのディスク、ベートーヴェンの交響曲第9番を聴いています。

 

これは以前に私の大好きなテノール歌手フリッツ・ヴンダーリッヒの歌っている「第9」だと言うことで購入したディスクです。(全くその理由だけで購入したでディスクでした。)

フリッツ・ヴンダーリッヒのエヴァンゲリスト J.S.バッハ マタイ受難曲 BWV.244

 

購入して一度全曲を聴いた後は第4楽章を数回聴いた程度だったと思います。

同じ時に購入した、(同じくヴンダーリッヒが歌ってる)クレンペラーのライヴと比べ、テンポも速く表情もあっさりした演奏だったという記憶が残っていました。

 

今日は何だか「第9」が聴きたい。フリッツ・ヴンダーリッヒの歌っているやつ。そう言えばこちらの演奏の方がヴンダーリッヒが歌いやすそうに歌っていたな。

 

聴き始めて、今日の選択は大正解だと思いました。

速めのテンポで(と言ってもあくまでクレンペラーとの比較ですから、ごく普通のテンポかも(笑))、すっきりした表情。なんだか絶好調の時のシューリヒトの音楽のようです。速めと言っても決して軽くなりすぎず音も薄っぺらなところなど少しもありません。さらっとしながら味わい深い表情。この指揮者はただ者では無い、という感じです。

 

そして第3楽章。ぼんやりと聴いていた姿勢をあらためました。気を抜いていたら涙が出てきてしまいそうでした。こんなに良く聴く音楽なのに、これほど心を揺すられたことはどれくらいあっただろう。美しい歌でした。

 

さらに続く第4楽章。

このディスク、独唱陣はなかなか豪華です。バスがテオ・アダム、テノールはもちろんフリッツ・ヴンダーリッヒ、アルトがマルガ・ヘフゲン、そしてソプラノが日本人矢野滋。(ピアニストの松浦豊明夫人だそうです。)

 

とても流れの良い歓喜のテーマからバスの独唱。テオ・アダムの声が見事です。そしてそれに続く4重唱。一流独唱陣が競うように歌います。ソプラノの矢野も一歩も引けを取っていません。続くヴンダーリッヒの独唱は見事の一言。これ以上輝かしいテノールがいるでしょうか?

 

オーケストラもコーラスも盛り上がってクライマックス。終結も見事。

 

途中、オーケストラやコーラスに気になる点がまったく無いわけでもありませんが、これは名演と言っても良い演奏だと思います。今日は何だか得した気分です。

 

 

ベートーヴェン: 交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 (Beethoven: Symphony No.9 / Fritz Wunderlich, Shige Yano, Marga Hoffgen, Theo Adam, Dean Dixon (live recording 1962)) [輸入盤]

 

「ヴンダーリヒ、アダム、ヘフゲン、そして日本の矢野! 凄いソリストが集まった「合唱」 指揮は伝説のディクソン!!
ディーン・ディクソン(1915-1976)の名前は日本ではあまり馴染みがないでしょうが、彼は20世紀において特別な意味を持った音楽家です。ディクソンはカリブ系米国人で、褐色の肌を持った有色人種。過酷な人種差別がはびこっていた当時の米国では黒人など有色人種がクラシック音楽で認められるのは難しく、ディクソンは広い名声を獲得した初の有色人種の指揮者だったのです。」(Amazon 商品の説明より抜粋)