Jeff Beck (part 9) | 今夜はきまぐれ~Mustangのひとりごと~

今夜はきまぐれ~Mustangのひとりごと~

~WHO'LL BE THE FOOL TONIGHT~ Music Monologue by Mustang
ホントにきまぐれな更新でございます…(^^ゞ

レコード会社移籍後の初作品…

 

emotion & commotion

EMOTION & COMMOTION (2010)

 

リリース当時の僕の印象はちょっと「拍子抜け」だった。

それは "WHO ELSE!" (1999) からの3連作があまりに尖がったサウンドだったからだろう。

"JEFF" (2003) から7年ぶりのオリジナル・アルバムの印象はそのぐらい地味だった。

 

 

しかし、振り返ってみれば George Martin のアルバム "IN MY LIFE" (1998)に参加し "A DAY IN THE LIFE" を録音したり、"OFFICIAL BOOTLEG USA '06" (2006) 収録の "OVER THE RAINBOW" を演奏した延長線上にあると考えてみると合点がいく。

実際、"OVER THE RAINBOW" はこのアルバムでスタジオ録音されている。

 

 

僕は前回の記事で "WHO ELSE!" からの3連作について「トンガり続けるサウンドは面白いけれど、いまひとつメロディが印象に残らない」と書いたが、その裏返しが "EMOTION & COMMOTION" なのかも知れない。

 

 

3連作のメカニカルなサウンドは影を潜め、ストリングスのオーケストレーションを大きく導入した「しっとりとした」サウンドはメロディを重視した結果であり、そこに僕は物足りなさを感じてしまったのだろう。

 

 

もちろん、Jeff のプレイが進化を止めたのではないわけで。

 

 

そして、間を置かずにライヴ音源が出る。

 

live and exclusive

LIVE AND EXCLUSIVE FROM THE GRAMMY MUSEUM (2010)

 

8曲で30分強の尺で "EMOTION & COMMOTION" 収録曲を含むライヴ作。

僕が入手した時に日本盤はなかった上に、輸入盤はCD-Rだった。

(後に日本では2011年に通常のCDで発売、2017年に再発)

 

 

調べてみたら、もともとは配信リリースだったらしい。

 

 

CDの尺からして、セットの全てを収録したものではないと推測するが、バンドはいつものギター・キーボード・べース・ドラムの編成。"EMOTION & COMMOTION" への印象と同じく、ハードな演奏よりもメロディ重視なパフォーマンスを優先して収録したのかな?という感じもする。

 

 

ライヴ作は続き…

 

rock N roll party

ROCK 'N’ ROLL PARTY - HONORING LES PAUL (2011)

 

1993年の "CRAZY LEGS" に近い傾向の作品…だと思うが、こちらはライヴ収録で映像版もある。

 

 

インスト路線が好きな僕にとって望む jeff の姿ではないけれど、意外と面白かった作品。

 

 

全編カヴァーとは言え、結構知っている曲が多かったこともある。

AEROSMITH(のヴァージョン)で知っていた "THE TRAIN KEPT A ROOLIN' "、"WALKING IN THE SAND"。THE VENTURES で知っていた "APPACH"、Larry Carlton で知っていた "SLEEPWAIK" 。

 

 

中盤からは3管ホーンも加わり、映画 ”THE BLUES BROTHERS" (1980) でお馴染みの "PETER GUNN"、同じく "BLUES BROTHERS 2000" (1998) でラストの大セッションで演奏された "NEW ORLEANS" には同作に出演もしていた Gary U.S. Bonds がゲスト参加。

 

 

ゲストと言えば Brian Setzer の参加も見どころ。

 

 

何より、Jeff がジャケットで手にしているセミアコだけでなく、テレキャスター(テレギブ)、お馴染みのストラトキャスター、そしてもちろんレスポールと4本のギターを使い分けているので、断然映像版の方が面白い。(しかもCDは数曲カットされている)。

 

 

とはいえ、やはりオリジナル・アルバムが待たれたのだが…

 

yosogai

YOSOGAI (2014)

 

スタジオ・レコーディング2曲にライヴ1曲の3曲入りEP。しかもジャパン・オンリーのリリース。故に「予想外」なのか?

 

 

そもそも、"JEFF"(2003) リリース時に日本盤ボーナス・トラックが初めて収録されたが、ライヴ音源などのリリースに積極的ではなかったと言われていた Jeff がこの頃から方針転換したような気がする。

 

 

"JEFF" の後にライヴ作が続いたが、そのあたりからCDのクレジットに Deuce Music の文字を目にするようになり、この文字は最新作でも確認することができる。

恐らく権利管理の会社だと思うが、そのことにより Jeff 自身が管理に関われるようになったのではないだろうか。

レコーディング技術が映像を含めデジタル化され制作環境が変わったことも一因かも知れない。

 

このEPだけでなく、 "EMOTION & COMMOTION" がライヴDVD付きで再発になったのもその流れのように思えるし。

 

 

続く作品もライヴになったが…

 

live plus

LIVE + (2015)

 

2014年U.S.ツアーからの音源。

2014年には来日公演も行っていて、それは映像作品になっている。

 

live in tokyo

LIVE IN TOKYO (2014)

 

バンド・メンバーは同じだが、U.S.ツアーには Jimmy Hall (Vo)が参加しているので、収録曲がかなり違っている。

 

CDの「+」とは2曲の新しいスタジオ・テイク。

ライナーによると「新作」のレコーディングは2014年には完了したものの、Jeff が「数曲の差し替えをしたい」との意向を示した為、来日公演に発売

が間に合わなくなった。

 

 

その為、新曲を "YOSOGAI" に2曲、"LIVE +" に2曲を収録という形になったようだ。

 

 

それ故か、”LIVE IN TOKYO" も "LIVE +” も "YOSOGAI" 収録の "LOADED" で始まっている。

 

 

「新作」がリリースされたのは2年後。

 

loud hailer

LOUD HAILER (2016)

 

結局、"EMOTION & COMMOTION" から6年が経った。

蓋を開けてみると、既発表の4曲のタイトルは見当たらない。しかし、サウンドの方向性は似ている…というのが最初の印象。

 

 

"WHO ELSE!" 以後の3作ほどメカニックではないが、"EMOTION & COMMOTION" ほど穏やかでもないし、もちろんレイドバックするでもなく、絶妙のバランスと感じた。

 

 

それは「円熟」とは無縁なことが、うれしくなるような…

 

 

インストの比重は11曲中2曲と低くなったが、”WHO ELSE!" 以後、100%インストの作品はなかったし、僕自身ヴォーカルとギターのバランスもそれほど気にならなくなっていて、これが今の Jeff なんだと納得できた。

 

 

そして、2016年は Jeff のデビュー50周年。

 

live at the hollywood bowl

LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL (2017)

 

50周年記念コンサートを収録した作品。

CDのみのパッケージもあるが、僕は DVD+2CD 版を入手。

 

ある意味キャリア総括的な選曲とも言えるし新作 "LOUD HAILER" の収録曲も演奏しているが、ついついゲストに関心が…。

 

 

jimmy Hall と Jan Hammer は当然というところだが、 Billy F. Gibbons (ZZ TOP) と Steven Tyler (AEROSMITH) の参加は見逃せないところ。

 

 

意外に思ったのは最後に Prince の "PURPLE RAIN" を演奏していること。

 

 

ライナーによれば、Jeff が以前から Prince に敬意を持っていたこと、このライヴの直前に Prince が亡くなった(2016年4月21日)ことと、ベーシストのRhonda Smith がかつて Prince のバンドに在籍していたことなどが理由ではないかと推測している。

 

 

デビュー50周年と言うことでこんな映像作品も…

 

the jeff beck stiry 

STILL ON THE RUN - THE JEFF BECK STORY (2018)

 

所謂ドキュメンタリー物。

 

 

正直それだけなら入手するつもりはなかったが、ボーナス・ディスクの2007年 MONTREUX JAZZ FES. ライヴ映像が目的で購入。

なんだかんだ言っても、Jeff のオフィシャル・ライヴ映像はそう多くはないですから。

 

 

そして、現時点での最新作…

 

18

18/Jeff Beck - Johnny Depp (2022)

 

う~ん、これをオリジナル・アルバムと呼ぶのはしっくりこない。

しかし、"LOUD HAILER" からもう6年も経っていたわけで…

 

 

でも、やはりJeff Beck のソロ・アルバムとは言いにくい。

内容が悪いとは思わないけれど。

 

 

しかし、結局これが Jeff の最後の作品になってしまった。

 

Johnny とのジョイント、ソロ活動…どちらでもいいから次に何をやってくれるか、まだまだ期待できると思っていたのだが。

 

 

 

2023年1月10日。「超合金ロボ」は虹の彼方…いや、蒼き風の彼方へ…

 

 

 

 

そして2023年5月。

 

 

Eric Clapton との共演音源が配信リリース。

7月には限定で7inchアナログでもリリース。

 

moon river edit

MOON RIVER/Eric Clapton / Jeff Beck (2023)

(※アナログB面は Jeff 不参加)

 

また、Beck, Bogart & Appice の "ライヴ・イン・ジャパン" に未発表のロンドン公演音源を加えた商品が9月にリリース予定。

 

bba live

 

LIVE IN JAPAN 1973, LIVE IN LONDON 1974/

Beck, Bogart & Appice (2023)

 

bba 1973 74

 

”LOUD HAILER" 製作過程からすれば未発表のセッション・テイク、更に時間を遡れば未発表のライヴ音源などがあるかも知れない。

 

それらを「聴きたくない」と言えば噓になる。でも、AIに製作(というか捏造)されるぐらいなら、それらのリリースは前向きに望みたい。

いや、AIになぞ出来るはずがない…と、思えるのが Jeff のプレイであり音楽

ではないだろうか。

 

 

 

Jeff Beck シリーズ、これにて完結。

<(_ _)>

 

 

 

230205 Jeff Beck (part 1)

230212 Jeff Beck (part 2)

230622 Jeff Beck (part 8) - Who Else!