Nさんは40歳の女性。
結婚して5年、
治療も4年ほど続けてきた方。
ぼくのところに来られて、
もうすぐ半年になる。
「できなくてもいいかな。
そう思えるようになってきたら、
いろんなことが楽しくなってきたんです。
妊娠はおいといて、
いろんな活動を楽しんでる。
ああ、
やっと気持ちに余裕ができたんだなぁ。
わたしは、そう思ってました。
でも・・・
あれ?
って思いました。
心の底で、
『妊娠したら困る』
って思ってるんじゃないかって。
ふと、
そんなことを思ってしまって。
そんなことを少しでも思ってる自分に
びっくりしました。
・今の楽しいことができなくなる。
・自分に使えるお金が使えなくなる
・自由な時間がなくなる
そして・・・
・主人の気持ちが私から
こどもに向かってしまう
そんなことを思ってました。
なんだかすごく気になって、
勇気を出して主人に話してみたんです。
そしたら
主人も同じようなことを考えてたって。
こどもがほしいからがんばってるけど、
こどもができたら、
わたしの気持ちが主人から離れて
こどもに行くんじゃないかと思ってる
って。
それにびっくりしてしました。
ふたりで同じようなことを考えてたんだなぁって。
そりゃ、できないよなぁ
って思いました。
二人して、
「妊娠したら困るかも」
って思ってるんですもん。
話してみて良かったです。
たとえこどもができても、
こどもへの気持ちはこどもへの気持ち。
二人のお互いへの気持ちが半分になるわけじゃない。
でね、
なんか安心したんです。
ふたりの気持ちがしっかりお互いを向いてたら
できても、
できなくても大丈夫だよねって。
ふたりの愛情が変わらなければ安心だよね。
そんなふうに思って、
できることへのこだわりが少し楽になって、
ハードルが下がった気がします。」
そっかー。
Nさんは、自分の中にある、
もうひとつの気持ちに気づいたんだ。
でも、
勇気をだして、
ご主人に話してみてよかったなぁって
すごく思う。
なんかねー。
ひとの気持ちって勝手に想像しちゃうでしょう?
勝手に想像するけど、
本当のことは、
わかんないよね。
それなのに、
『きっと、こう思ってる』
そんな自分の勝手な想像で
自分を縛っちゃうんだよね。
不妊治療って、
やっぱり長い道のりだったりすることも多いから
夫婦ふたりの『本心』を
お互いに確かめておくことって
いろんな意味で、
とっても大事だと思う。
なんだかんだ言ったって、
一番近くにいる人だもん。
でね、
ぼく、Nさんの言葉に気になって、
ひとつ質問をしてみた。
心の底で
『妊娠したら困る』
と思ってる、
その一番の理由は何だと思う?
って。
そしたらNさんね、
少し間をおいて、
こう言われた。
「寂しいんだと思います」
つづく
↓ ↓ ↓
『こどもがいないと愛されない。』