権威主義的性格:やっかいなパーソナリティ | 司法書士 荒谷直樹のブログ

司法書士 荒谷直樹のブログ

埼玉県所沢市の司法書士フラワー総合事務所代表。ジャンル問わず人生に有益な情報を発信!!法律&メンタル&個人的戯言♬

 権威主義とは、上からの命令や指示を、善悪・正邪の判断よりつねに優先させる考え方を指します。そして、そのような認知傾向の強い性格を権威主義的性格と呼びます。時の権力者の考えや社会的な決まりなどを無批判に受け入れて、これに服従し、依存するが、それと同時に、自分より立場の弱い者には横柄な態度を取り、独りよがりな優位性を誇示するような性格のことです。

 

 上司には無条件でペコペコし、部下にはひたすら横柄な態度を取る、傍目から見て、見苦しさを感じるような性格を想像していただければ、想像しやすいかと思います。

 

 権威主義的性格(パーソナリティ)には4つの傾向があるとされています。

 

①自分に無力感を抱かせるような脅威の対象が現れたときに、ただちにこれを取り除こうとする破壊的傾向

 

②人が自分自身であることをやめて、己をむなしくして、他のひとが期待する通りの機械的、画一的な人間になりきろうとする同調的傾向

 

③他の人を自分に依存させ、絶対的に支配してしまうことによって、自分の無力感を克服し、自分は権力者だと信じ込もうとするサディズム傾向

 

④自分の自由や独立を捨てて、力の強いほかの人に絶対服従し、完全に依存することによって自分の無力をカバーしようとする

マゾヒズム傾向

 

 この性格に見受けられることが多い③と④のサディズムとマゾヒズムは、ちょっとみたところでは正反対の傾向のように見えますが、「力の感覚を求めて自己同一性」を捨ててしまうという点では共通しています。こうして、服従と支配とを自分の行動原理として、目上のものには完全に従順になる代わりに、目下の者に対しては、指示的、命令的、支配的、攻撃的になるという権威主義的性格が形成されていきます。

 

 権威主義的性格を持つ者は、絶えず、優劣、上下などの恣意的・主観的判断材料を用い、言わば弱肉強食の原理で世渡りしようとする傾向がみられます。

 

 正直、あまり関わりたくないタイプの人間ですよね。わたしも過去にこういうタイプの人間に苦労した経験がありますが、今、考えても「あの人にはこう接すれば良かった」というような良い対処法は思いつかないです。

 

 このタイプの性格を持つ人の根底には、不安感や無力感があるとされています。食べたい、眠りたい欲望があるのと同様に、人間には、不安感、無力感、孤独感、寂しさというマイナスの感情を無くしたいという欲望があるとされています。これらを克服するためには、仕事、家族、友人などを通じて、自分を他の者と積極的に結びつけなければなりません。しかし、調和のとれた理想的な性格(パーソナリティ)でないと、これを実行するのは難しいのです。結果、「不器用」にその欲望を満たそうとして生まれる性格が「権威主義的性格」ではないかと考えています。

 

 こういうタイプの人間が近くにいると、対応に疲弊しますが、根底には不安感や無力感があるのだと分かっていれば、少しは寛容的に対処できる気がします。ただ、職場や学校、家族など避けられない人間関係の中にいる場合は別として、単なる知人、関わるのが必須ではない友人などの場合は「逃げる」のが最善の策だと思います(笑)

 

(参考)※ドイツの哲学者・社会学者アドルノは、ナチスのファシズムを支持した大衆の心理を分析して、つぎのような権威主義的な性格傾向があるとしています。

  1. 強いものに柔順で,弱いものに強圧的になる。
  2. 偏見や差別意識にとらわれやすい。
  3. 自分が所属している集団に対する帰属意識が極端に強い。
  4. 善か悪か,敵か味方かという二価値判断におちいりやすい。
  5. 思考が紋切り型のステレオタイプである。
  6. 人間を内面でなく肩書きなどの外面で評価する。
  7. 縦の上下関係に敏感である。
  8. 権力や金力を正義と結びつけやすい。
  9. 人間を手段としてあつかうことに平気である。
  10. 容易には人を信用しない。
  11. 理想に対しては冷淡な態度をとる。

 

(参考文献 小林司著 「心の謎を解く150のキーワード」2000年講談社)

 

 

 

 

※ドラえもん殿に「権威主義的性格の人の内面を表情で表現してください」とお願いいたならば、きっとこんな感じになると思われる。ワルドラです。